動脈瘤性くも膜下出血患者の術後神経認知機能に対するプロポフォールとデスフルランの比較:前向き無作為化試験

脳動脈瘤2.png・動脈瘤性くも膜下出血後、生存者の 40?50% が認知機能障害をきたし、QOL に影響を及ぼす。麻酔薬は動脈瘤手術において極めて重要な役割を果たしている。しかし、麻酔薬が神経認知機能に及ぼす影響に関する実質的なエビデンスは不足している。本研究では、プロポフォールとデスフルランが術後の神経認知機能と血清 S-100B 値に及ぼす影響を評価した。

100 人の患者をプロポフォールを投与する群(P 群)とデスフルランを投与する群(D 群)に均等に無作為に割り付けた。認知機能は Montreal Cognitive Assessment scale を用いて 3 つの時点で評価した: 術前、退院時、術後 1 ヵ月後である。S-100B の周術期血清値も測定した。

・P 群における術前の平均認知スコアは 21.64+4.46、D 群では21.66+4.07であった(P=0.79)。退院時、認知スコアは術前と比較して有意な低下が観察された(P 群 -20.91+3.94、P=0.03、D群 -19.28+4.22、P=0.00);しかし、スコアは2群間で同等であった(P=0.09)。術後 1 ヵ月後の平均認知スコアは、P 群で 22.63+3.57、D 群で20.74+3.89であり、その差は有意であった(P=0.04)。サブ群解析では、1 ヵ月後の記憶力とオリエンテーションのスコアは D 群より P 群で高かった(P<0.05)。両群とも血清 S-100B 値は同程度であった。

術後 1 ヵ月の平均認知スコアは、デスフルランと比較してプロポフォールで有意に改善したが、臨床的意義はなかった。個々の領域分析により、オリエンテーションと記憶のスコアはプロポフォールの方が良好に保たれることが示された。

へ〜っ、術後 1 ヵ月の平均認知スコアに麻酔薬の種類が影響するのかな?

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