迅速挿管におけるマグネシウム前処置とロクロニウムの 2 種類の投与量の比較:無作為化比較試験

Mg5.png・マグネシウムはロクロニウムの作用時間を延長すると同時に、その効果発現時間を短縮する能力が認められている。本研究の目的は、迅速導入挿管を受ける患者において、2 つの異なる用量のロクロニウムによる効果発現時間の短縮におけるマグネシウム前処置の有効性を評価することである。

・本無作為化前向き二重盲検臨床試験は、全身麻酔下で待機的手術を受ける、術前に挿管困難が予想されない ASA-PS I/II に分類される患者 50 人を対象とした。患者を 2 群に分け、A 群ではロクロニウム 1.2mg/kg を用いた挿管の 15 分前にマグネシウム 60mg/kg を投与し、B 群では ロクロニウム 0.6mg/kg による挿管の前にマグネシウム 60mg/kg を投与した。挿管条件は、両群とも投与後、最後の刺激に対する反応が消失した時点で評価し、挿管の容易さ、声帯の位置、気管チューブの挿入に対する反応を考慮して評定した。同時に、挿管直前、挿管 1 分後、挿管 5 分後の血行動態の変化を記録した。

0.6mg/kg のロクロニウムを用いた挿管条件は、マグネシウム前処置を行った 1.2mg/kg のロクロニウムを用いた場合と比較し、ほぼ同等に良好であった

マグネシウム前処置はロクロニウムの筋弛緩効果を増強し、臨床的に有意なブロック持続時間の延長を伴わずにその発現時間を短縮した。

日本では、ロクロニウムの添付書には「挿管用量の上限は0.9mg/kgまでとする。」と記載されている。マグネシウムを併用すると、ロクロニウム 1.2mg/kg 相当に良好な筋弛緩が得られると。

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