ASA スコア予測における ChatGPT-4 の精度評価:多施設共同前向き研究 ASA スコア予測における ChatGPT-4

Chat-GPT.png・本研究は、OpenAI によって開発された ChatGPT-4 が、特に ASA スコアシステムを用いた術前評価において、医療上の意思決定プロセスを強化する可能性を調査するものである。ASA スコアは、術前の患者の健康状態と麻酔リスクを評価する重要なツールであり、総合的な健康状態とリスク要因に基づいて患者を I 〜 VI に分類する。広く使用されているにもかかわらず、正確な ASA スコアの決定は依然として主観的なプロセスであり、AI がサポートする評価が有益である可能性がある。本研究の目的は、ChatGPT-4 が ASA スコアを正確に予測する能力を、麻酔科専門医の評価と比較して評価することである。

・本前向き多施設共同研究では、倫理委員会の承認を得て、 clinicaltrials.gov に登録した(NCT06321445)。対象は麻酔科外来患者 2851 例で、新生児から全年齢層、両性にまたがり、ASA スコアは I〜IV であった。除外基準は、ASA V および VI スコア、緊急手術、ASA スコア決定のための情報不足とした。患者の人口統計、健康状態、麻酔科医による ASA スコアに関するデータが収集され、匿名化された。ChatGPT-4 は、標準化患者データに基づいて ASA スコアの割り当てを課された。

・その結果、ChatGPT-4 の予測値と麻酔科医の評価値は高度に一致し、Cohen のカッパ解析ではカッパ値は 0.858(p=0.000)であった。このモデルは、ASA スコア I〜III の予測では 90% 以上の精度を示したが、ASA IV スコアでは顕著なばらつきがみられ、より複雑な健康状態の患者の評価には限界がある可能性が示唆された。

ChatGPT-4 は麻酔科医の術前評価をサポートすることで、医療分野に大きく貢献できることが示唆された。本研究は、ChatGPT-4 が医療データ解析と意思決定において有効であることを示すだけでなく、医療における AI 応用、特に患者の安全性向上と手術成績の最適化に新たな道を開くものである。複雑な症例評価のための AI モデルを改良し、臨床ワークフローにシームレスに統合するためには、さらなる研究が必要である。

ASA-PS の割り付けや、特定の施設の過去の麻酔症例についての学習結果から、麻酔法の決定にも役立たせることができるだろうな。

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