腹腔鏡下胆嚢摘出術で全身麻酔を受ける患者におけるリクルートメント操作が静的肺コンプライアンスに及ぼす影響:単施設における前向き臨床介入研究

保護的肝気.png・本研究の目的は、腹腔鏡下胆嚢摘出術を受ける患者において、肺胞リクルートメント操作(RM)の使用が静的肺コンプライアンス(Cstat)の有意な増加およびガス交換の改善につながるかどうかを検討することである。

・臨床的前向き介入研究を実施した。患者は肥満指数(BMI)に応じて 2 群に分けられた:標準体重(I 群)、肥満前および肥満グレード I(II 群)。肺の力学的状態(Cstat、動的コンプライアンス-Cdin、最高圧-Ppeak、プラトー圧-Pplat、駆出圧-DP)とガス交換、血行動態の変化(心拍数-HR、平均動脈圧-MAP)を 6 つの時点でモニターした: T1(麻酔導入)、T2(気腹形成)、T3(PEEP5cmH2O でのRM)、T4(PEEP7cmH2O でのRM)、T5(気腹終了)、T6(終了時の RM)。RM は、吸気と呼気の比(I/E = 1:1)を等しくし、PEEP を 5cm H2O と 7cm H2O に設定した状態で、最高圧を+5cm H2O 上昇させることにより行った。

・96 例中 33 例が I 群、63 例が II 群であった。Cstat 値は 3 つの RM のすべてで上昇した。各時点で、Cstat 値は II 群よりも I 群で高く測定された。2 回目と 3 回目の RM 後には、II 群の方が高い Cstat の増加が観察された。Cstat 値は、麻酔導入後の値と比較して、外科手術の終了時に高かった。RM により、両群とも PaO2 は有意に上昇したが、HR や MAP は変化しなかった。

腹腔鏡下胆嚢摘出術において、RM の適用は Cstat の有意な上昇とガス交換の改善をもたらす。麻酔中の無気肺の予防は、保護的人工呼吸と RM を用いて麻酔導入直後に開始すべきである。

麻酔中の肺加圧操作は、無気肺を予防し、肺の状態を健常な状態に維持するのに有効なようだ。

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