■ 臨床麻酔とクリティカルケアのMCQ問題 ■ 2024/05/01

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【問題1】(心臓・血管) 虚血性心疾患に関して次のうち正しいのはどれか。

ア:非Q波心筋梗塞と心内膜下梗塞はほぼ同義である。

イ:不安定狭心症を疑う時は、運動負荷心電図が有用である。

ウ:心筋ミオシン I は細胞質中に存在する可溶性蛋白の一種である。

エ:障害を受けた心筋からは分子量の小さい蛋白ほど早期に流出する。

オ:冠動脈造影検査で50%以上の狭窄を有意狭窄とする。


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[解説] 非Q波心筋梗塞と心内膜下梗塞はほぼ同義であり、一次的に冠動脈が完全に閉塞したものの、心筋が貫壁性に壊死に陥る前に、冠動脈内血栓の自然融解により心筋壊死が心内膜のみに限局した病態である。不安定狭心症を疑う時は、胸痛が消失していても運動負荷心電図は禁忌である。わずかの運動負荷にて、心筋梗塞を発症したり、致命的な心室性不整脈が発生する危険性がある。心筋ミオシン軽鎖 I 、トロポニンTおよびIなどは構造蛋白であり、ミオグロビン、CK、GOT、LDHなどは細胞質中に存在する可溶性蛋白の一種である。障害を受けた心筋からは分子量の小さい蛋白ほど早期に流出する。冠動脈造影検査で75%以上の狭窄を有意狭窄とする。


[正解] (ア)、(エ) [出典] LiSA Vol6-No6-p588(1999)





【問題2】(中枢神経) 緊急処置を要する頭痛はどれか?
1) 緑内障
4) 三叉神経痛
2) 筋収縮性頭痛
5) 後頭神経痛
3) 片頭痛


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[解説] 緊急処置を要する頭痛には、クモ膜下出血、脳出血、脳腫瘍・脳膿瘍の急性増悪、激症型の脳炎・髄膜炎、高血圧性脳症など脳神経に関連したものの他、緑内障、側頭動脈炎、一酸化炭素中毒がある。このうち最も見逃してはいけないのは、くも膜下出血と髄膜炎である。くも膜下出血を単なる頭痛として処置したり、髄膜炎を単なる風邪と誤診すると取り返しの付かないことになる。一酸化炭素中毒は通常は状況から診断可能であり、同じ環境に戻ってすぐに悪化するなら暖房器具の点検が必要である。急性緑内障であれば、虹視の前兆、早期に激しい頭痛が突然起こること、視力障害、眼球圧痛があることなどが診断の手がかりとなる。


[正解] 1 [出典] 内科レジデントマニュアルP19



【問題3】(心臓・血管) 心室頻拍で心拍数がどれくらい以上になると脈拍触知不能となるか?
1) 220 2) 120 3) 150 4) 180 5) 250

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[解説] 心室頻拍は脈拍数によって、第1選択の治療法が異なる。通常心拍数が180以上になると脈拍触知不能となる。脈の触れる心室頻拍では、まずリドカインを投与し、これに抵抗する場合、50〜100Jのエネルギーでで除細動を行なう。脈の触れない心室頻拍では、100〜200Jのエネルギーで除細動を行う。


[正解] 4 [出典] 研修医ノートP283





【問題4】(麻酔薬) 局所麻酔にアドレナリンを添加した場合、局所麻酔薬の血中濃度上昇はどれくらい低く抑えられるか?
1) 報告は見当たらない
4) 70%
2) 50%
5) 30%
3) 10%


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[解説] 脊髄麻酔時に0.1〜0.3μg、そ他は1/200000の濃度が最適で、それ以上の濃度は血管収縮効果が増強せず、全身作用(頻脈、血圧上昇)が著明となる。麻酔薬の血中濃度上昇は30%低く抑えられ、麻酔持続時間は約50%延長する。


[正解] 5 [出典] 臨床麻酔のコツと落とし穴part1p36

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