病的肥満患者におけるプロポフォールの麻酔導入用量に関する除脂肪と理想体重の比較: 二重盲検無作為臨床試験

肥満寒邪.png・肥満は世界的に増加しつつある問題であり、麻酔薬を含む様々な薬物の薬力学および薬物動態の両方に影響を及ぼし、特定の薬物の投与量過少または過剰投与につながる可能性がある。肥満患者に対する理想的な投与レジメンについてのコンセンサスは得られていない。本研究では、麻酔導入に使用されるプロポフォールの 2 つの体重に基づく投与量を、作用発現時間、麻酔の適切さ、および血行動態指標(例えば、心拍数[HR]および血圧)への影響という観点から比較した。

・本無作為化二重盲検臨床試験では、肥満度(BMI)≧35、年齢 18〜59 歳、ASA-PS II および III の肥満症手術を予定している病的肥満(MO)患者 40 人を、ブロック無作為化法を用いて無作為に 2 群に分け、除脂肪体重(FFM)群または理想体重(IBW)群に基づいて麻酔導入のためにプロポフォール 2mg/kg を投与した。主要評価項目は、バイスペクトル指数(BIS)≦60 に達するまでの時間であった。睫毛反射消失までの時間、麻酔不十分の徴候(BIS>60、挿管時の緊張、開眼など)、追加投与の必要性、血行動態指標(HR、平均動脈圧[MAP]など)も比較した。

BIS≦60 に達するまでの平均時間は、FFM 群で 134.1 秒、IBW群で 148.7 秒であった。この差は統計的に有意ではなかった(P=0.334)。睫毛反射の消失時間も両群間に有意差はなかった(P=0.814)。しかし、FFM 群では 2 例、IBW 群では 8 例に麻酔不十分の徴候がみられ、追加投与が必要であった。この差は統計的に有意であった(P=0.032)。プロポフォール導入量投与前および投与 2 分後の血行動態変数は、試験群間で同等であった(介入前 MAP、介入後 MAP、介入前 HR、介入後 HR について、それぞれ P=0.520、P=0.327、P=0.847、P=0.516)。

麻酔導入のための FFM と IBW に基づくプロポフォールの投与は、同等の作用発現時間と血行動態効果をもたらすが、麻酔の適切性という点では、FFM に基づく投与は IBW に基づく投与に比べて有利である。

本研究では、FFM 組成を、生体電気インピーダンス分析(BIA; In-body 720、Biospace Korea)を使用して測定している。理想体重よりも重くなるので、理想体重よりは適切な量になるようだ。

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