■ 臨床麻酔とクリティカルケアのMCQ問題 ■ 2024/05/08
【問題1】(麻酔中の問題) 低酸素血症が疑われる場合に行うべき処置はどれか。 | ア:麻酔器からのガス流量のチェック イ:呼吸音聴取 ウ:パルスオキシメータによる酸素飽和度の確認 エ:バッグによる換気 |
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[解説] パルスオキシメータが確実にシグナルを拾い、正常の値を示していれば、一酸化炭素中毒やシアン中毒を除けば、まず低酸素血症は除外できる。低酸素血症が認められる場合には、システマティックにアプローチする必要がある。麻酔器あるいは患者側から原因を検索する。例えば、麻酔器側からいけば、人工呼吸器、ガス流量、呼吸回路接続の確認、気管内チューブの閉塞や屈曲、肺の問題(肺水腫、気胸、無気肺など)、血液の問題、心臓の問題というふうになる。
[正解] (全て) [出典] 麻酔科クリニカル問題集
【問題2】(産科麻酔) 産科麻酔について正しいのはどれか? | ア:妊婦の1回心拍出量は妊娠第3期から増加する。 イ:妊婦の心拍数は非妊婦と変わらない。 ウ:妊娠中の血漿コリンエステラーゼ濃度は増加する。 エ:妊婦の平均動脈圧は15mmHg上昇する。 オ:分娩活動中は通常、過換気の状態にあり、既存の呼吸性アルカローシスがさらに増悪する。 |
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[解説] ア:×:妊婦の1回心拍出量は妊娠5〜8週にかけて増加する。
イ:×:妊婦の心拍数は25%増加する。妊娠第1期終了時には15%増加する。
ウ:×:妊娠中の血漿コリンエステラーゼ濃度は低下する。出産前には約25%、分娩3日後には約33%減少するが、臨床上はほとんど問題とならない。
エ:×:妊婦の平均動脈圧は15mmHg低下する。妊娠第2期までは正常である。
オ:○:分娩活動中は通常、過換気の状態にあり、既存の呼吸性アルカローシスがさらに増悪する。その結果、子宮血管の収縮、胎盤血流の減少、低酸素血症や胎児切迫仮死を引き起こすことがある。
[正解] 解説を参照 [出典] 麻酔科シークレット第2版 p412-419
【問題3】(溺水・中毒・体温) 胃洗浄の禁忌でないものはどれか? | 1) イレウス 3) 強酸・強アルカリの誤飲 5) 腹膜炎症状・free air | 2) 食道静脈瘤 4) 石油製品の誤飲 |
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[解説] 胃洗浄の禁忌:(1)食道静脈瘤の既往や噴射性出血のみられる患者。(2)強酸、強アルカリなどの粘膜腐食物質の誤飲は胃穿孔の危険がある。(3)石油製品(ガソリン、軽油、灯油、シンナー)の誤飲は、洗浄の刺激による嘔吐物の誤嚥によりlipid pneumoniaの原因となる。誤飲量が多く中毒症状がある時は、あらかじめ気管内挿管を行い洗浄する。(4)腹膜炎症状や腹部単純X線写真において腹腔内free airのみられる症例。腸洗浄の禁忌は上記(1)〜(4)とイレウス症状のみられる症例である。
[正解] 1 [出典] 救急処置基本手技アトラスP1202
【問題4】(呼吸) 空気吸入時の血液による酸素運搬のうち、Hb結合酸素は血漿溶存酸素の何倍程度か? | 1) 120〜140倍 3) 12〜14倍 5) −−−− | 2) 6〜7倍 4) 60〜70倍 |
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[解説] 溶存酸素=0.0031×PaO2(=100)=0.31ml、これに対し、Hb結合酸素=1.36×Hb(=15)×SaO2(=100〜98)=20mlであるので、約60〜70倍ということになる。
[正解] 4 [出典] Q新麻酔科学改訂第5版p24
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