心臓手術に対するクモ膜下モルヒネ投与:無作為化比較試験の系統的レビューとメタ分析

モルヒネ7.png・心臓手術では術後疼痛が大きくなることが多く、疼痛管理のためにオピオイドが大量に使用される。しかし、オピオイドの過剰使用は、望ましくない副作用や慢性的なオピオイド使用につながる可能性がある。この系統的レビューとメタ分析の目的は、胸骨切開を必要とする心臓手術を受けた患者において、術前のモルヒネクモ膜下投与が術後のオピオイド消費を減少させうるかどうかを評価することである。

心臓手術を受ける患者におけるモルヒネのクモ膜下投与を評価した無作為化比較試験について、創始から 2022 年 5 月までのCochrane、EMBASE、および MEDLINE データベースの系統的検索を行った。他のオピオイドまたは併用薬のクモ膜下投与を評価した研究は除外した。主要転帰は術後 24 時間のモルヒネ消費量とし、副次評価項目は抜管までの時間および入院期間とした。

・最終的な解析には、合計 402 例の患者を対象とした 10 件の無作為化比較試験が含まれた。その結果、術後 24 時間のモルヒネ消費量は介入群で有意に少なかった(標準化平均差 -1.43[-2.12、-0.74]、95%CI、P<0.0001)。抜管までの時間と入院期間には有意差はなかった。

・著者らのメタ分析は、術前モルヒネクモ膜下投与は、抜管までの時間を延長することなく、心臓手術後 24 時間における術後モルヒネ消費量の低下と関連すると結論づけた。術前のモルヒネクモ膜下投与は、心臓手術を受ける患者における多剤併用鎮痛およびオピオイド節約戦略の一部と考えることができる。

心臓手術でもクモ膜下モルヒネ投与は、術後 24 時間のモルヒネ消費量の節約になるようだ。

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