低い術中二酸化炭素濃度は、待機的大腸癌手術後の無再発生存率の改善と関連する

ETCO2.png・二酸化炭素(CO2)濃度が高いと、in vitro における大腸癌細胞の浸潤能が増加する。大腸癌手術後の手術成績を改善するための呼気終末二酸化炭素濃度(EtCO2)の目標値を評価する研究は不足している。そこで著者らは、術中の EtCO2 が待機的大腸癌(CRC)手術後の無再発生存率の差と関連するかどうかを評価した。

・3次大学病院単施設での麻酔記録、手術データベース、病院情報システムの後ろ向き解析。2009 年から 2018 年の間にハイデルベルク大学病院で大腸癌の待機的切除術を受けた患者 528 例を解析した。術中の平均 EtCO2 値を算出した。研究コホートは低 EtCO2 群と高 EtCO2 群に均等に層別化した。主要評価項目は最終追跡までの無再発生存期間とした。Kaplan-Meier 解析を用いて各群を比較した。共変量のコントロールには Cox 回帰分析を用いた。入院中の敗血症、再手術、手術部位感染、心血管イベント、および全生存が副次評価項目であった。

平均 EtCO2 は低 EtCO2 群で 33.8mmHg±1.2 であったのに対し、高 EtCO2 群では 37.3mmHg±1.6 であった。追跡期間中央値は 3.8 年(Q1-Q3、2.5-5.1)であった。無再発生存率は低 EtCO2 群で高かった(log-rank 検定:p=0.024)。交絡因子の補正後では、 EtCO2 の低下は無再発生存の延長と関連していた(HR=1.138、95%-CI:1.015-1.276、p = 0.027);主要転帰のハザードは平均 EtCO2 が 1mmHg 低下するごとに 12.1% 低下した。1 年生存率および 5 年生存率も低 EtCO2 群で高かった。その他の副次エンドポイントには差を認めなかった。

CRC 手術における術中の EtCO2 目標値の低下は腫瘍学的転帰に有益である可能性があり、確認試験で評価すべきである。

呼気終末二酸化炭素濃度を低くすることで、術後腫瘍再発率を低下させることができる!?



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