■ 臨床麻酔とクリティカルケアのMCQ問題 ■ 2024/05/15

【問題1】(筋弛緩) 骨格筋アセチルコリン受容体について正しいのはどれか。 | ア:4種のサブユニット蛋白より構成される。 イ:アセチルコリンはαサブユニットに結合する。 ウ:非脱分極性筋弛緩薬はβサブユニットに結合する。 エ:熱傷後発現する受容体は非脱分極性筋弛緩薬への親和性が高い。 |
▼
▼
▼
[解説] mature、あるいはjunctional type受容体は5個のサブユニットによって形成されている。4つの蛋白はα、β、ε、およびδサブユニットと呼ばれ、2:1:1:1の比率で存在している。アセチルコリンおよびアセチルコリン受容体に結合する若干の薬物に対する結合部位はαサブユニットに局在している。非脱分極性筋弛緩薬はαサブユニットに結合する。熱傷後、筋膜におけるアセチルコリン受容体数が増加(upregulation)し、AChやSchに対する感受性は亢進するが、逆に非脱分極性筋弛緩薬に対しては感受性が低く抵抗性である。(参考)Lisa Vol3 No5p412
[正解] (ア)、(イ) [出典] 第33回麻酔指導医認定筆記試験:A10
【問題2】(循環管理) カルジオバージョンが第一選択となるものはつぎのどれか。 | ア:心室頻拍であるが、血圧は保たれている。 イ:ジギタリス中毒時の心室性不整脈 ウ:torsade de pointes 時の心室頻拍 エ:WPW症侯群患者の頻拍発作 |
▼
▼
▼
[解説] 脈の触れない心室頻拍では、カルジオバージョンが第一選択となるが、血圧が保たれている場合には、リドカイン、プロカインアミドなどの投与が第一選択である。ジギタリス中毒時の心室性不整脈には塩化K(特に低K血症がある場合)、無効ならリドカイン、フェニトインを試みる。カルジオバージョンは禁忌(致死的不整脈を誘発する危険)である。TdPの心室頻拍には硫酸Mg、イソプロテレノール、リドカインが有効という報告があるが、第一選択は電気的ペーシングである。WPW症侯群に関連した頻脈性不整脈のいずれの型でも最も有効な治療はカルジオバージョンである。発作が短時間で終わるか、自然消失、頚動脈洞刺激のような簡単な操作によって容易に洞調律に復する場合には適応はない。
[正解] (エ) [出典] 第27回麻酔指導医認定筆記試験:B29
【問題3】(麻酔科学用語) コロン以下の日本語に相当する英単語、フレーズを答えよ。 | (1) (p________) (r___) : 潅流量 (2) (r____) (a_____) (p_______) : 右房圧 (3) (a_________) (d_______) : 酸性化利尿薬 (4) (l________) (m___) (a_____) : ラリンジアルマスク (5) (b____) (p____) : 血液パッチ |
[解答]
(1)perfusion rate | (2)right atrial pressure |
(3)acidifying diuretic | (4)laryngeal mask airway |
(5)blood patch |
[出典] 麻酔科学用語集 第3版
【問題4】(外傷・出血・感染) 左下位肋骨骨折があるときに疑う臓器損傷は? | 1) 腎損傷 4) 大腸損傷 | 2) 肝損傷 5) 膵損傷 | 3) 脾臓損傷 |
▼
▼
▼
[解説] 左下位肋骨骨折があるときには脾損傷を、右下位肋骨骨折があるときには肝損傷を疑う。また腰椎の横突起骨折があるときには腎損傷を疑う。
[正解] 3 [出典] 救急認定医診療指診P366
この記事へのコメント