高齢手術患者における意識消失の誘発に必要なレミマゾラム投与量と年齢の関係

年齢補正MAC.png・レミマゾラムは新しい超短時間作用型ベンゾジアゼピン系鎮静薬であり、迅速な作用発現、迅速な回復、臓器に依存しない代謝が特徴である。高齢の患者では、レミマゾラムを投与された後、治療上発現する有害事象(TEAE)が増加し、周術期の予後が悪化する傾向がある。しかし、高齢患者における意識消失(LOC)に対するレミマゾラムの適切な投与量を検討した研究はほとんどない。著者らは、投与量の参考となるエビデンスを提供し、麻酔導入時に LOC を誘発するための年齢とレミマゾラムの必要量との関係を明らかにするために本研究を計画した。

全身麻酔下での手術が予定されている患者 120 名を対象とし、2 群に分けた: A 群(60 例、年齢 18〜64 歳)と B 群(60 例、年齢 65 歳以上)に分けた。LOC は、Modified Observer's Assessment of Alertness and Sedation スコアが 1 に達した時点と定義され、全参加者がレミマゾラムを 0.05mg/kg/分の速度で持続注入された後に覚醒した。

LOC の誘発に必要なレミマゾラム量は、A 群で 0.26mg/kg、B 群で 0.19mg/kg であり、B 群のレミマゾラム投与量は A 群に比べて 26.9% 減少した。二変量線形相関分析によると、レミマゾラム必要量は年齢と負の相関を示した。多変量線形回帰モデルを用いて潜在的な影響因子をさらに調整したところ、年齢が LOC に必要なレミマゾラム投与量の独立因子であることが示された。

・本研究により、年齢が LOC 誘発に必要なレミマゾラム量と有意かつ独立した相関があることが示された。全身麻酔導入時の血行動態の安定を得るために、高齢患者にはレミマゾラムの用量を適切に減量することが推奨される。

吸入麻酔剤、鎮痛鎮静剤に共通して、高齢になればなるほど少ない用量で効果が得られる。

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