超早期(24 時間以内)と後期(24 時間以上)に脳動脈瘤クリッピング術を受けた患者における周術期合併症と転帰の比較: 302 例の 7 年間の後ろ向き研究

脳動脈瘤クリッピング.png・くも膜下出血(SAH)を伴う脳動脈瘤は罹患率と死亡率が高い。本研究では超早期手術(24 時間以内)と後期手術(24 時間以上)における周術期合併症の発生率を比較することを目的とした。

・2014 年 1 月から 2020 年 12 月までに動脈瘤クリッピング術を伴う開頭手術を受けた患者 302 例について後ろ向きデータを検討した。周術期データはカルテから入手し、治験責任医師がレビューした。合併症は超早期手術と後期手術で比較した。遅発性虚血性神経障害(DIND)、術中動脈瘤破裂(IAR)、麻酔関連合併症などの主要合併症に注目した。DIND と IAR がある場合と無い場合とで、患者の短期転帰(入院中)と長期転帰(1 年)を比較した。収集されたデータは統計的に分析された。

・320 例が解析され、264 例が追跡を終了した。超早期症例(150 例)では、ASA-PS が高く、Glasgow Coma Scale が低く、Hunt & Hess scale が高かった。外科医は超早期手術としてより多くの前大脳動脈の症例を手術した。DIND、IAR、重篤な血行動態不安定、心停止の発生率はそれぞれ 5.6%、8.3%、6.3%、0.3% であり、群間で差はなかった。しかし、再挿管率は超早期手術例で高かった(0 vs. 3.3%, p=0.023)。DIND 群と IAR 群では短期(入院中)の転帰が不良であった。

動脈瘤クリッピングを伴う超早期開頭術と後期開頭術の間に主要合併症の差はなかった。しかし、再挿管率は超早期群で顕著に高かった。重大な合併症を有する患者は早期に好ましくない転帰をたどった。

脳動脈瘤クリッピング術の超早期手術では、再挿管率が高くなるのは、なぜなんだろうか? 少し遅れて脳浮腫をきたすから?

この記事へのコメント