日本における股関節骨折の入院 48 時間以内の早期手術は 1 年死亡率を改善しなかった:単施設コホート研究

48時間以内.png・股関節骨折の早期手術(入院後 48 時間以内)は死亡率の低下に有効である。しかし、日本における股関節骨折の術前待機日数は平均 4.5 日であり、股関節骨折後の 1 年死亡率は 10% である。本研究の目的は、48 時間以内の早期手術が日本における股関節骨折患者の 1 年死亡率を低下させるかどうかを検討することである。

・このコホート研究では、2013 年 1 月から 2019 年 9 月までに外科的治療を受けた連続した股関節骨折患者 402 例を対象とした。除外基準は年齢<60 歳、院内損傷とした。合計 389 人の患者が本研究に組み入れられた。入院後 48 時間以内に早期手術を受けた患者(早期群)と、早期手術を受けなかった患者(後期群)の 2 群に分けた。2 群間で患者の特徴と治療成績を比較した。

・患者の特徴を比較したところ、早期群ではヘモグロビン値が低く(P=0.046)、CRP 値が低く(P=0.031)、週末入院患者数が少なく、出血を引き起こす可能性のある薬剤の使用歴がある患者数が少なく(P<0.01)、全身麻酔を受けた患者数が少なかった(P<0.01)。しかし、その他の変数に関しては2群間に有意差は認められなかった。治療成績分析によると、早期群では手術までの待機時間が短く(P<0.01)、急性期病棟での入院期間が短かった(P<0.01)。しかし、総入院期間、退院時の Barthel index、自宅退院率、院内死亡率、1 年死亡率には差がなかった。

・今回の結果から、日本では高齢の股関節骨折患者において早期手術は 1 年死亡率を低下させないことが示された。

日本のある施設では、股関節骨折に対して早期手術を行っても 1 年死亡率は変わらなかったと。

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