抜管時の咳嗽反応抑制に対するデクスメデトミジンとリドカインの比較:系統的レビューとメタ分析

咳き込み.png・気管チューブの抜管はしばしば心血管系や気道の反応を引き起こし、危険な結果をもたらす可能性がある。デクスメデトミジンとリドカインのどちらが咳嗽抑制に効果的であるかは依然として不明である。そこで、成人患者における気管チューブ抜去後の咳嗽反応抑制におけるデクスメデトミジンとリドカインの有効性と安全性を比較するために、無作為化比較試験の系統的レビューとメタ分析を行った。

・PubMed、Embase、Cochrane Library、Web of Science などの電子データベースを徹底的に検索し、関連する研究を特定した(創始時点から 2023 年 1 月 31 日まで)。全身麻酔下の成人患者において、抜管反応を予防するために麻酔からの覚醒時にデクスメデトミジン静注投与とリドカイン静注投与を比較した無作為化対照試験を対象とした。主要評価項目は、抜管後の咳嗽の発生率であった。副次評価項目は、覚醒時間、抜管時間、残存鎮静、徐脈の発生率などであった。統計解析には RevMan ソフトウェアを用いた。Cochrane risk of bias ツールを用いて潜在的なバイアスのリスクを評価した。

合計 7 件の研究が対象となり、450 人が対象となった。デクスメデトミジン群とリドカイン群で咳嗽の発生率に統計学的有意差はなかった[リスク比=0.76;95% 信頼区間:0.46、1.24]。覚醒時間および抜管時間は両群間で有意差はなかった。メタ分析により、リドカイン群と比較してデクスメデトミジン群では徐脈と残鎮静の発生率が高いことが明らかになった。

・このメタ分析では、抜管後の咳嗽、覚醒時間、抜管時間にデクスメデトミジン群とリドカイン群で差はなかった。しかし、残存鎮静と徐脈はリドカインよりもデクスメデトミジンのほうが著明であった。

抜管後の咳嗽反応を抑制するために、リドカイン静注という方法があるんだな。知らなかった。日本ではデクスメデトミジンは使用できないけど・・。

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