■ 臨床麻酔とクリティカルケアのMCQ問題 ■ 2024/05/27

MCQ52.png




【問題1】(心臓・血管) ペースメーカ植え込み患者が近づかない、使用しない方がよいものはどれか。
ア:電動マッサージ機
ウ:体脂肪計
オ:中継基地
イ:盗難防止器
エ:全自動麻雀卓


    ▼

    ▼

    ▼

[解説] ●近づいても、使用しても影響を受けないもの
電子レンジ 、電気敷布、毛布 、電動マッサージ機 、ヘアードライヤー 、テレビ、ラジオ 、コピー機 、ファクシミリ、パソコン 、補聴器 、電車、自動車(車内)、バイク 、TVゲーム 、血圧測定器
●近づく、あるいは使用すると影響が出ると思われるもの
電磁調理器、IH炊飯器 、電気のこぎり、ドリル、研磨機 、火花を散らすモーター 、高出力トランシーバー 、携帯電話 、家庭用コードレスフォン、PHS 、盗難防止器 、金属探知機 、体脂肪計 、全自動麻雀卓
●影響を受ける物、場所
誘導溶解炉 、レーダーアンテナ 、放送所アンテナ、中継基地 、不良電気器具 、アーク溶接器、スポット溶接器 、低周波治療器、高周波治療器 、発電装置 、大型モーター 、高電圧設備 、強力な磁場の発生する場所 、自動車のエンジンルームをのぞき込む



[正解] (イ)、(ウ)、(エ)、(オ) [出典]




【問題2】(体液・電解質) 高カリウム血症の原因のうちで、カリウムの細胞外流出が原因であるものはどれか?
1) ACE阻害剤投与
3) 腎不全
5) アシドーシス
2) スピロノラクトン投与
4) 保存血輸血


    ▼

    ▼

    ▼

[解説] 高カリウム血症の原因は、大きく(1)K摂取量の過剰 (2)細胞外へのK流出 (3)K排泄量の減少  に分けられる。このうち、細胞外へのK流出の原因となる病態としては、アシドーシス=pH低下(H+と交換に細胞外へ流出する)、インスリン不足(インスリンは肝、筋へのK取り込みを促進)、高K血性周期性四肢麻痺、細胞崩壊(溶血、血液系悪性腫瘍の治療、筋挫滅、熱傷)、高浸透圧血症(高血糖、マンニトール投与など)、薬剤(βブロッカー、サクシン、ジギタリス)、低アルドステロン症(腎作用以外に、K分布調節を行なう) などが挙げられる。スピロノラックトンはアルドステロン拮抗剤であり、ミネラルコルチコイド作用の減弱の結果カリウム排泄が低下する。ACE阻害剤でもアルドステロンの減少を介してカリウム排泄が低下する。保存血は血球崩壊のため高カリウムである(カリウム過剰投与)。


[正解] 5 [出典] クリティカル記憶術1P203




【問題3】(心臓・血管) 心室性不整脈の重症度を0〜 V の6分類したものを何という?
1) Lown
3) Forrester
5) Rubenstein
2) NYHA
4) Killip


    ▼

    ▼

    ▼

[解説] NYHA(ニューヨーク心臓協会分類1度〜4度)は、日常生活活動による心疾患患者の重症度分類であり、問診の結果からだけで判定できる。Forrester分類(1977)は、Swan-Ganzカテーテルを使用して測定できる心拍出量(心係数:CI)と肺動脈楔入圧(PCWP)の値から、急性心筋梗塞の左心機能を血行動態面から4つのサブセットに分類したものである。LownはHolter心電図での心室性期外収縮の重症度をgrade0〜5に分類した。gradeがすすむと心室細動に移行する率が高くなる。Killipは、1967年急性心筋梗塞の心不全を身体所見(理学所見)の上から4型に分類した。この分類は聴診器1本で心不全の重症度が診断できる簡便さに加え、予後を的確に反映する指標となるため今日でも広く用いられている。Rubensteinは、洞不全症候群(SSS)を臨床的に1型(高度慢性洞性徐脈:HR<50)、2型(洞停止、洞房ブロック:P波が時々みられなくなる)、3型(徐脈頻脈症候群:俗称「ブラタキ」)の3型に分類した。


[正解] 1 [出典] 救急医学Vol18-No4-p417,内科レジデント実践マニュア



【問題4】(血管手術の麻酔) 解離性大動脈瘤について正しい記述はどれか。

ア:Stanford 分類A型は内科的治療の方が、外科手術より死亡率が高い。

イ:Stanford 分類B型で急性対麻痺を起こした場合には、緊急手術が必要である。

ウ:上行大動脈解離では、右冠動脈のほうが左冠動脈より巻き込まれやすい。

エ:下行大動脈瘤の手術では必ず心肺バイパスが必要である。

    ▼

    ▼

    ▼

[解説] Stanford分類A型は、上行大動脈解離があるものをいい、B型は解離が下行大動脈に限られているものをいう。A型は外科的に治療される。下行大動脈手術では対麻痺が起こる率は1−23%と報告されている。下行大動脈手術では、単純遮断やガットシャントを用いて手術を行うこともある。


[正解] (ア)、(イ)、(ウ) [出典] 麻酔科クリニカル問題集

この記事へのコメント