腰椎手術を受ける患者における麻酔導入後の輸液負荷による伏臥位での血行動態の変化:無作為化盲検前向き研究

低血圧5.png・仰臥位から伏臥位への体位変換は血行動態の変化を引き起こす。著者らは、仰臥位での輸液剤前負荷の効果、その後の伏臥位での血行動態の変化、および術後の転帰を評価することを目的とした。

・本前向き評価者盲検無作為化比較試験は 2023 年 3 月から 6 月にかけて実施された。全身麻酔下での待機的整形外科的腰椎手術が予定されていた成人を登録した。合計 80 名の参加者が、体液維持群(M)と輸液負荷群(L)に無作為に割り付けられた。両群とも、手術切開までは 2ml/kg/h の速度で静脈内輸液を行い、L 群には麻酔導入後 10 分間、さらに 5ml/kg の静脈内輸液を負荷した。主要評価項目は、手術切開前の低血圧の発生率であった。副次評価項目は、平均血圧(mBP)、心拍数、脈拍変動指数(PVi)、脳梗塞容積変動(SVV)、脈圧変動(PPV)、脳梗塞容積指数、手術切開前の心臓指数の両群間の差であった。さらに、術後 2 日目までの術後合併症と術後在院日数を調査した。

低血圧は切開術前の M 群に多くみられ、ベースラインの PVi>16 で予測できた。mBP は輸液負荷直後の L 群で有意に高かった。PVi、SVV、PPV は輸液負荷後 L 群で低く、SVV と PPV については 2-3 時点でも差が持続した。その他の転帰は両群間に差はなかった。

全身麻酔導入後の水分負荷は、伏臥位での手術が予定されている患者において、手術切開までの低血圧の発生を減少させることができた。さらに、ベースライン PVi が 16 を超える患者では低血圧が予測できた。したがって、ベースライン PVi が高い患者では、麻酔導入後および伏臥位での低血圧を予防するために、静脈内輸液負荷が強く推奨される。

PVi>16 の患者では積極的に輸液負荷を行った方がよろしいようで。

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