レミフェンタニルを用いたセボフルラン麻酔を受けた高齢患者におけるレミマゾラムまたはプロポフォールを用いた全身麻酔導入後の低血圧:単施設二重盲検無作為化比較試験

レミマゾラム3.png・全身麻酔導入後の低血圧の発生は高齢患者によくみられ、周術期の合併症を最小限にするために予防すべきである。プロポフォールと比較して、レミマゾラムは低血圧の発生率が低い可能性がある。本研究は、高齢患者におけるレミマゾラムまたはプロポフォールによる全身麻酔導入後の低血圧発生率を比較することを目的とした。

・この単施設二重盲検無作為化試験には、予定手術で全身麻酔を受けた年齢 80 歳以上の患者 90 人が登録された。患者は麻酔導入にレミマゾラム(12mg /kg/h)またはプロポフォール(0.025mg /kg/s)を投与する群に無作為に割り付けられ、レミフェンタニルとセボフルランが併用された。病棟での高血圧の有無が層別化因子となった。全身麻酔導入後の低血圧の発生率は、薬剤投与開始から気管挿管 3 分後まで 1 分ごとに測定した非侵襲的平均動脈圧が 65mmHg 未満と定義し、主要転帰とした。主要転帰について、術前の病棟高血圧、臨床虚弱尺度、チャールソン併存疾患指数、年齢を用いてサブ群解析を行った。

・薬剤投与前に 3 例が除外され、87 例が解析対象となった。低血圧の発生率はレミマゾラムで 72.1%(31/43 例)、プロポフォールで 72.7%(32/44 例)であった。統計的に有意な差(調整オッズ比、0.96;95%信頼区間、0.37-2.46;P=0.93)は群間に観察されなかった。サブ群解析でも群間に有意差はみられなかった。

レミマゾラムはプロポフォールと比較して、年齢 80 歳以上の患者における全身麻酔導入後の低血圧発生率を低下させなかった。

レミマゾラムはプロポフォールに比べて循環抑制作用が弱いとされているが、高齢者では低血圧の発生頻度に差がなかったと。

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