斜角筋間腕神経叢ブロック後の鎮痛を延長させるデキサメタゾンの静脈内投与と神経周囲投与:メタ分析と試験逐次解析を用いた系統的レビュー

デキサメタゾン2.png・鎮痛持続時間の延長を目的とした区域麻酔補助薬としてのデキサメタゾンの神経周囲投与と静脈内投与の有効性は、注入部位によって全身吸収が異なるため、特定の末梢神経ブロックに特有である可能性がある。このような不確実性を考慮し、著者らは斜角筋間腕神経叢ブロックに対する局所麻酔薬と併用したデキサメタゾンの神経周囲投与と静脈内投与を比較するメタ分析および試験逐次解析を含む系統的レビューを行った。

・様々な電子データベースを検索した結果、11 件の試験(1145 例)を対象とした。主要評価項目は、末梢神経ブロックまたは知覚遮断の発現から、初回鎮痛剤要求または最初の疼痛報告までの時間として定義された鎮痛持続時間とした。

主要評価項目である鎮痛持続時間は、デキサメタゾン神経周囲投与群の方が長く、平均差(95% 信頼区間)は 122(62-183)分、I2=73%、P<0.0001であった。試験逐次解析により、確固たるエビデンスに達したことが示された。エビデンスの質は、主に中等度の矛盾と高度の出版バイアスのため、低に格下げされた。知覚遮断および運動遮断の発現時間と 12 時間後の安静時疼痛スコアを除き、副次評価項目のいずれにおいても有意差は認められなかったが、その差の大きさは臨床的に重要なものではなかった。

区域麻酔補助薬としてのデキサメタゾンの神経周囲投与は、斜角筋間腕神経叢ブロックの静脈内注射と比較して鎮痛持続時間を平均 2 時間延長させるという質の低いエビデンスがある。この差の臨床的意義が限定的であること、神経周囲投与の適応外使用であること、薬剤の結晶化のリスクを考慮すると、デキサメタゾンの静脈内投与を推奨する。

このメタ分析では、末梢神経ブロックに際してデキサメタゾンの投与法は、神経周囲よりも、静脈内投与を推奨している。

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