大腸内視鏡検査を受けるクローン病患者におけるフェンタニル、ケタミン、リドカインとプロポフォール併用麻酔の比較

大腸内視鏡.png・大腸内視鏡検査はクローン病(CD)患者に対する主要な侵襲的処置である。オピオイドとプロポフォールは呼吸器系と心血管系合併症のリスクを伴う。本研究は、フェンタニルをケタミンまたはリドカインで代用することで、プロポフォールの使用量を減少させ、有害事象を最小化できるかどうかを評価することを目的とした。

待機的大腸内視鏡検査を予定していた CD 患者 146 人を、フェンタニル(n=47)、ケタミン(n=47)、リドカイン(n=55)による麻酔に割り付けた。十分な麻酔を得るためにプロポフォールが投与された。各群における測定評価項目は、プロポフォールの消費量、低血圧および酸素飽和度低下の発生、有害事象の種類、意識回復時間、腹痛強度、Aldrete 尺度、麻酔後退院スコアリングシステム(PADSS)などであった。

フェンタニルを投与された患者は、ケタミンを投与された患者よりも有意に多くのプロポフォールを必要とした(P=0.017)が、リドカインは顕著な差を示さなかった(P=0.28)。酸素飽和度低下はケタミン群とリドカイン群でフェンタニル群より有意に少なかった(P<0.001)。ケタミン群では、平均動脈血圧(P=0.018)と収縮期血圧(P<0.001)の低下がより軽度であった。回復指標(Aldrete スコアと PADSS スコア)はフェンタニル群で低かったが(P<0.001)、満足度と疼痛値は全群で一貫していた(P=0.797)。めまいは、フェンタニル群(17.2%、P=0.018)およびケタミン群(15.1%、P=0.019)よりもリドカイン群で発生頻度が低く、金属味の発生はフェンタニル群よりもリドカイン群(13.5%、P=0.04)で多かった。

・CD 患者の大腸内視鏡検査の麻酔において、フェンタニルの代わりにケタミンまたはリドカインを用いると、有害事象や患者満足度に悪影響を及ぼすことなく、プロポフォールの使用量を有意に減少させ、酸素飽和度低下事象を減少させ、低血圧リスクを増加させることなく血圧をより効果的に維持し、回復を早める。

鎮静時に呼吸抑制を少なくするには、フェンタニルを、ケタミンかリドカイン、あるいは、そられの併用に置換するとよさそうだ。

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