非心臓大手術後の術中換気/血流不均衡と術後肺合併症:前向きコホート研究

高V/Q.png・術後肺合併症(PPC)は入院期間、術後罹患率、死亡率を増加させる。多くの因子が PPC のリスクを増加させるにもかかわらず、術中の換気/血流(V/Q)不均衡が非心臓大手術後の PPC リスク増加と関連するかどうかはわかっていない。

非心臓手術で全身麻酔を受けた患者を登録し、Automatic Lung Parameter Estimator 法を用いて術中の V/Q 分布を評価した。評価は麻酔導入後(T1)、手術開始から 1 時間後(T2)、手術終了時(T3)に行った。各時点で人口統計学的情報と手技情報を収集し、術中の換気パラメーターと血行動態パラメーターを測定した。患者は術後 7 日間経過追跡され、PPC の発生について毎日評価された。

101 例の患者が登録され、年齢中央値は 71[62-77]歳、BMI は 25[22.4-27.9]kg/m2、術前の ARISCAT スコアは 41[34-47]であった。そのうち 29 人(29%)が PPC を発症し、主なものは急性呼吸不全(23%)と胸水貯留(11%)であった。PPC を発症した患者と発症しなかった患者では、T1 時点、またはプロトコール中、シャント値に差はなかった(PPC:22.4[10.4-35.9]% vs PPCなし:19.3[9.4-24.1]%、p=0.18)のに対して、手術中(PPC:13[11-15]mmHg vs PPC なし:10[8-13.5]mmHg、p=0.007)と抜管前(PPC:13[11-14]mmHg vs PPCなし:10[8-12]mmHg、p=0.006)に高 V/Q の程度に有意差が認められた。年齢、ARISCAT、BMI、喫煙、体液バランス、麻酔の種類、腹腔鏡下手術、手術時間で調整した結果、抜管前の高 V/Q は PPC 発症と独立して関連していた(OR 1.147、CI 95%[1.021-1.289]、p=0.02)。感度分析の結果、E 値は 1.35(CI=1.11)であった。

非心臓大手術を受けた PPC のリスクが中等度/高度の患者において、術中の V/Q 不均衡は PPC の発症と関連する。抜管前の高 V/Q 増加は、術後 7 日間の PPC 発生と独立して関連している。

術中、抜管前の V/Q 増加は、術後呼吸器合併症のリスク増加と関係している。

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