ARISCAT リスク指数で特定された感受性の高い患者において、スガマデクスは術後肺合併症の発生を減少させた:系統的レビューとメタ分析
・術後肺合併症(PPCs)に対する感受性の高い患者において、ネオスチグミンと比較したスガマデクスの有効性は、いまだ不確定である。Assess Respiratory Risk in Surgical Patients in Catalonia(ARISCAT)グループの研究者らは、感受性患者を早期に同定するためのリスク指標を提案した。ARISCAT で定義された危険因子を有する患者における PPC に対するスガマデクスの有効性を評価するために、メタ分析法を適用した。
・PubMed、Scopus、Embase、Cochrane library、GreyNet、OpenGrey を検索し、言語や出版年を限定せずに適格な無作為化比較試験(RCT)を探した。
・PPC に罹患しやすい患者 1182 人からなる 12 件の RCT が含まれた。スガマデクスを投与された感受性の高い患者において、PPC の発生率の確実な減少が観察され[RR 0.66;95%CI(0.54, 0.80)、p<0.01]、研究間の異質性は低いレベルであった(I2=45.98%;H2=1.85)。残存筋弛緩(NMB)の回避[RR 0.25;95%CI(0.11, 0.56);p<0.01]、無気肺[RR 0.74;95%CI(0.59, 0.95);p=0.02]、肺炎[RR 0.49;95%CI(0.28, 0.88);p=0.02]、呼吸不全[RR 0.61;95%CI(0.39, 0.96);p=0.03]においても同様の予防効果が証明された。有害事象[RR 0.85;95%CI(0.72, 1.01);p=0.06]については差が認められなかった。
・低〜中程度の質のエビデンスにより、ARISCAT で定義された危険因子を有する患者において、PPC および残存 NMB の可能性を減少させるという点で、NMB の拮抗にはネオスチグミンよりもスガマデクスの方が優位であることが示された。臨床医は、PPC に罹患しやすい患者を治療する際に、拮抗薬の種類を再評価してもよさそうである。
・PubMed、Scopus、Embase、Cochrane library、GreyNet、OpenGrey を検索し、言語や出版年を限定せずに適格な無作為化比較試験(RCT)を探した。
・PPC に罹患しやすい患者 1182 人からなる 12 件の RCT が含まれた。スガマデクスを投与された感受性の高い患者において、PPC の発生率の確実な減少が観察され[RR 0.66;95%CI(0.54, 0.80)、p<0.01]、研究間の異質性は低いレベルであった(I2=45.98%;H2=1.85)。残存筋弛緩(NMB)の回避[RR 0.25;95%CI(0.11, 0.56);p<0.01]、無気肺[RR 0.74;95%CI(0.59, 0.95);p=0.02]、肺炎[RR 0.49;95%CI(0.28, 0.88);p=0.02]、呼吸不全[RR 0.61;95%CI(0.39, 0.96);p=0.03]においても同様の予防効果が証明された。有害事象[RR 0.85;95%CI(0.72, 1.01);p=0.06]については差が認められなかった。
・低〜中程度の質のエビデンスにより、ARISCAT で定義された危険因子を有する患者において、PPC および残存 NMB の可能性を減少させるという点で、NMB の拮抗にはネオスチグミンよりもスガマデクスの方が優位であることが示された。臨床医は、PPC に罹患しやすい患者を治療する際に、拮抗薬の種類を再評価してもよさそうである。
ひこ
スガマデクスは高価な薬剤なので、何でもかんでもスガマデクスを使用するよりは、医療費節減の観点からは、PPC リスクの高い患者に限って使用するのが、保険医としては当然だろう。
【出典】
Sugammadex Reduced the Incidence of Postoperative Pulmonary Complications in Susceptible Patients Identified by ARISCAT Risk Index: Systematic Review and Meta-analysis
Adv Ther. 2023 Sep;40(9):3784-3803.
Sugammadex Reduced the Incidence of Postoperative Pulmonary Complications in Susceptible Patients Identified by ARISCAT Risk Index: Systematic Review and Meta-analysis
Adv Ther. 2023 Sep;40(9):3784-3803.
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