高齢患者におけるロクロニウム低用量投与による神経筋回復時間の短縮

ロクロニウム投与量と筋弛緩の程度.png・四連反応(TOF)刺激により 2 回の反応がみられた場合、ネオスチグミンの投与により筋弛緩薬の効果が拮抗できる可能性がある。しかし、高齢者においては、ネオスチグミンの投与時期に関するデータは限られている。著者らは、TOF 後に 2 回の反応が起こるまでの時間(TOF-2)は、ロクロニウム 0.9mg/kg 投与後よりもロクロニウム 0.6mg/kg 投与後の方が短いという仮説を立てた。また、TOF-2 までの時間は、ロクロニウム 0.6mg/kg 後よりもロクロニウム 0.3mg/kg 後の方が短いという仮説も立てた。

ロクロニウム 0.6mg/kg を投与された患者は 16 人、ロクロニウム 0.9mg/kg を投与された患者は 16 人、ロクロニウム 0.3mg/kg を投与された患者は 18 人であった。患者は全静脈麻酔を受け、筋弛緩は加速筋電図でモニターされた。

TOF-2 までの時間は、ロクロニウム 0.9mg/kg 投与後よりもロクロニウム 0.6mg/kg 投与後の方が短く、37 分 vs 59 分であった(差:22 分(95% 信頼区間(CI):10〜33 分)、p=0.0007)。ロクロニウム 0.3mg/kg 投与後の TOF-2 までの時間は、ロクロニウム 0.6mg/kg 投与後よりも短かった:19 分 vs 37 分(差: 18 分(95%CI:11〜25 分)、p=0.00006)。しかし、0.3mg/kg を投与された患者のうち、完全な効果、すなわち TOF-0 が得られたのは 33% みであった。

TOF-2 までの時間は、ロクロニウム 0.6mg/kg 投与後の方が 0.9mg/kg 投与後よりも短く、ロクロニウム 0.3mg/kg 投与後の方が 0.6mg/kg 投与後よりも短かった。

それって、本当に仮説を立てて検証しなくてはならないことなんだろうか?薬理学的に当然だと思うけど。また、タイトルの「高齢患者」は不要で、哺乳類なら普遍的に投与量が少なければ作用持続時間は短い。図は 6 年前に後述の<関連記事>「Q:麻酔導入時のロクロニウム投与量をどうするか?」を書いた時に描いたものだが、この論文のために描いたよう・・・・・。

この記事へのコメント