■ 臨床麻酔とクリティカルケアのMCQ問題 ■ 2024/06/11

MCQ14.png



【問題1】(呼吸管理) 正しいのはどれか。

ア:バッキングは機能的残気量を増加させる。

イ:最大吸気圧と四連反応比(train-of-four ratio)は相関しない。

ウ:麻酔終了時、筋弛緩薬の影響を見るには、5秒間のhead tiltテストがよい。

エ:気管内吸引により頭蓋内圧は上昇する。

オ:最大吸気圧が−10cmH2Oあれば抜管してよい。


    ▼

    ▼

    ▼

[解説] バッキングは機能的残気量を減少させる。特に小児では、分時換気量の減少および肺気量の減少、それに起因する無気肺により急速に低酸素血症を招来する。MIP(最大吸気圧)と四連反応比は相関しない。麻酔終了時、筋弛緩薬の影響を見る上で、5秒間の頭部挙上は、下肢挙上および握力よりは信頼できる指標であると言う。気管内吸引により、昏睡患者で頭蓋内圧が12±5mmHg上昇したという報告がある。一般に、呼吸器離脱に必要な最大吸気圧≧−20〜30cmH2Oといわれている。


[正解] (イ)、(ウ)、(エ) [出典] 第34回麻酔指導医認定筆記試験:B18




【問題2】(心臓・血管) 心ポンプ機能の障害されるショックをきたすのはどれか?
1) アナフィラキシーショック
3) 汎発性腹膜炎
5) 敗血症性ショック
2) 外傷による出血
4) 緊張性気胸


    ▼

    ▼

    ▼

[解説] ショックの定義:「急性全身性循環不全で、重要臓器や細胞の機能を維持するに十分な血液循環が得られない結果発生する、生体機能の異常を呈する症侯群」。分類:(1)循環血液量減少性ショック、(2)心原性ショック、(3)アナフィラキシーショック、(4)感染性(敗血症性)ショック、(5)神経原性ショック.心原性ショックは心臓ポンプ機能の低下から末梢循環不全さらには腫瘍臓器機能低下をきたす悪循環に陥った病態であり、狭義には、急性心筋梗塞や心筋症など心筋病変に起因するものを指し、広義には徐拍性・頻拍性不整脈によるもの、逆流性病変、狭窄性病変、心タンポナーデや肺塞栓、緊張性気胸など心外性病変の機械的病変によるものも含まれる。心タンポナーデや肺塞栓、解離性大動脈瘤、心房室弁口閉塞、仰臥位低血圧症候群等は血流閉塞性ショックと分類するテキストもある。


[正解] 4 [出典] ICUトラブルシューティングp92



【問題3】(外傷・出血・感染) DICの治療において、血中AT III 濃度が何%以下の場合にAT III 濃縮製剤の投与が適応となるか?
1) 80% 2) 60% 3) 50% 4) 30% 5) 70%

    ▼

    ▼

    ▼

[解説] ヘパリンは、AT III 存在下にトロンビン、Xaその他のセリンプロテアーゼを阻害するムコ多糖体である。DICの治療でヘパリンを使用する場合、ヘパリンが抗凝固作用を発揮するにはAT III が必要で、血中AT III 濃度が70%以下の場合にはAT III 濃縮製剤を補充する必要がある。通常1500単位を静注するが、重症病態で凝固活性が亢進している際は3000単位を投与する。


[正解] 5 [出典] 救急認定医診療指診p241





【問題4】(心疾患患者への注意) 虚血性心疾患のリスクファクターはどれか。
ア:糖尿病
ウ:高コレステロール血症
イ:高血圧
エ:肥満

    ▼

    ▼

    ▼

[解説] その他のリスクファクターとしては、喫煙、虚血性心疾患の家族歴、A型性格、運動不足などがある。


[正解] (全て) [出典] 麻酔科クリニカル問題集

この記事へのコメント