肥満指数の高い手術患者におけるセボフルランおよびプロポフォール麻酔導入がバッグマスク換気に及ぼす影響

マスク換気7.png・肥満は急激な酸素飽和度低下を引き起こす拘束性換気型と関連している。肥満は気道管理困難の危険因子と考えられているが、効果的なバッグマスク換気(BMV)を達成できないことは致命的である。本研究では、肥満患者における麻酔導入時の BMV の有効性に対するプロポフォールとセボフルランの効果を評価しようとした。

合計 200 例を対象とし、無作為にセボフルラン導入を行った 100 例を含む S 群と、プロポフォール導入を行った残りの 100 例を含む P 群に分けた。

・患者および気道の特徴に関して、両群間に統計学的有意差は認められなかった(P>0.05)。困難な BMV(DBMV)は、S 群と P 群でそれぞれ 19% と 37% の症例で遭遇した。DBMV の発生率は P 群で有意に高かった(P=0.005)。さらに、困難の程度は P 群の方が顕著であった。ロジスティック回帰分析の結果、胸骨頤間距離、巨舌の有無、ひげの有無、歯の欠如、いびきの既往、およびプロポフォール導入が DBMV の危険因子であることが明らかになった。

セボフルランは病的肥満患者の麻酔導入時に、プロポフォールと比較して BMV を促進し、より良好な挿管条件を提供できる。さらに、胸骨頤間距離の減少、巨舌症とひげの存在、歯の欠如、いびきの既往は、DBMV の術前指標と考えられる。

セボフルランの方が気管拡張作用があるし、ある程度の筋弛緩作用により咽頭喉頭反射をプロポフォールよりも効果的に抑制するのが BVM が容易になるのだろう。したがって、麻酔導入時には、セボフルランの吸入も併用した方がよい。マスク換気困難の因子:OBESE=「O:Obese(肥満) B:Beard(髭) E;Elderly(高齢) S:Snore(いびき) E:Edentulous(歯がない) 」

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