■ 臨床麻酔とクリティカルケアのMCQ問題 ■ 2024/06/14
【問題1】(疼痛管理) 交感神経依存性疼痛(sympathetically maintained pain)について正しいのはどれか. | ア:広域作動性神経の感受性が増加している. イ:ephaptic transmission が出現する. ウ:交感神経ブロックで抑制できる. エ:交感神経遠心性線維を上行する痛みである. オ:−−−− |
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[解説] (ア):(正)広域作動性神経(wide dynamic range neuron)は,侵害刺激,非侵害刺激の両者に反応するが,侵害刺激が続くと,非侵害刺激(たとえば軽い接触)も痛みとして伝えるようになる.この状態になると Aβ線維が交感神経遠心刺激で活性化されるようになり,痛みを伝達する.
(イ):(正)末梢の隣接する神経線維は,正常では,絶縁状態であるが,損傷を受けると短絡(ショート)する.この状態(ephaptic transmission)では交感神経遠心性線維を下行してきた刺激が,疼痛を伝達する C 線維や Aδ線維を刺激し,痛みの原因となる.
(ウ):(正)交感神経ブロックで抑制できる痛みを sympathetically maintained pain(SMP),交感神経ブロックで抑制できない痛みを sympathetically independent pain(SIP),交感神経ブロックで増強する痛みを angry backfiring C-nocicepter(ABC)syndrome と名づけている.
(エ):(誤)交感神経 を下行する遠心性インパルスが原因となり,Aβ,Aδ,C 線維を上行する痛みである.
[正解] (ア)、(ウ)、(エ) [出典] Super Hospital 麻酔科
【問題2】(肝・腎・消化管) 腹腔穿刺が禁忌であるのはどれか? | 1) 開腹の既往例 3) 肝硬変例 5) 妊婦 | 2) 腹腔内出血を疑う症例 4) 腹腔内貯留液の性状不明例 |
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[解説] 骨盤骨折などによる後腹膜血腫症例では、後腹膜が高度にせり上がり、後腹膜誤穿刺となるので、上腹部で穿刺する。開腹の既往のある症例では、手術瘢痕部及びその周囲は腸管癒着の可能性があるため、十分離れた部位を穿刺する。高度な腸管拡張例や妊婦では禁忌と考えた方が良い。
[正解] 5 [出典] 研修医ノートP566
【問題3】(代謝・内分泌) フルクトサミンは、どれくらい以前の血糖コントロールの状況を反映するとされるか? | 1) 2〜3ヶ月前 3) 2週間前 5) 2〜3日前 | 2) 1ヶ月前 4) 1週間前 |
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[解説] HbA1cは、約1ヵ月前、フルクトサミンは、約2週間前の血糖コントロールの状況を反映するとされる。
[正解] 3 [出典] 研修医ノートP376
■ これって常識? ■ 脳梗塞周囲の虚血ペナンブラを救え! |
1)虚血ペナンブラ(ischemic penumbra)とは,虚血による機能障害をきたしているが細胞死には至っていない領域のことで,脳血流の早期の改善により梗塞への移行を免れる可能性が残っている領域といえる.
2)梗塞へ移行する要因として,虚血の程度と時間経過のどちらもが関係してくる.
3)虚血ペナンブラをいかに救うかが,脳梗塞急性期治療のひとつの命題といえる.
[出典] 知っているつもりの内科レジデントの常識非常識 第3章 378の常識〜神経編
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