帝王切開分娩の脊椎麻酔における注射液温度がクモ膜下ブピバカイン投与量に及ぼす影響に関する無作為二重盲検試験

アンプル加温.png・クモ膜下局所麻酔薬の温度を上げると、脊椎麻酔の発現速度およびブロック高が増加することが示されている。しかし、このことが必要投与量にどのように影響するかは十分に定量化されていない。本研究の目的は、37℃(体温)または 24℃(室温)の温度でブピバカインをクモ膜下投与した場合の、帝王切開分娩患者の 50% における麻酔の有効量(ED50)を決定し、比較することである。

・脊椎-硬膜外併用麻酔下で待機的帝王切開分娩を行った 80 人の健常分娩患者を、37℃(体温群)または 24℃(室温群)で保存した高比重ブピバカインのクモ膜下投与を受ける群に無作為に割り付けた。各群の最初の被験者には 10mg のブピバカインが投与された。各群の後続の被験者の投与量は、前の被験者の反応(有効または無効)に基づいて1mg ずつ増減された。投与量が無効であった患者には、データ収集後、手術に十分な麻酔がかかるまで、必要に応じてリドカイン 2% を硬膜外に補充した。ED50 の値は、バックアップ感度分析としてプロビット分析を適用した修正アップダウン逐次分析を用いて算出した。これらの値を比較し、相対的な平均効力を算出した。

クモ膜下に投与した高比重ブピバカインの ED50(平均値[95% 信頼区間、CI])は、室温投与群(8.1[7.7-8.6]mg)と比較して体温投与群(6.7[5.7-7.6]mg)で低かった(P<0.05)。室温群と体温群のブピバカインクモ膜下投与の相対効力比は 0.84(95%CI、0.77-0.93)であった。

高比重ブピバカインを体温まで加温すると、帝王切開分娩の脊椎麻酔に必要な投与量が約 16%(95%CI、7%-23%)減少した。

局所麻酔薬の液温が体温に近い方が神経細胞のナトリウムチャンネルに結合しやすいため力価が上がるのだそうだ。


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