肥満患者における骨格筋重量によるロクロニウム投与量算出の妥当性

骨格筋重量.png・本研究は、骨格筋重量に基づいて投与されるロクロニウムの用量反応関係を調べ、肥満患者の短時間手術における骨格筋重量によるロクロニウム投与量の算出の実行可能性を評価することを目的とした。

・この単施設無作為化対照臨床試験には、気管鏡検査を予定している、体脂肪率(PBF)が男性で 20% 以上、女性で 28% 以上、ASA ステータス I〜III の、年齢 28〜70 歳の肥満患者 71 人が組み入れられた。患者を無作為に 2 群に割り付けた:骨格筋群(SM群)には骨格筋量に基づくロクロニウムを投与(1.0mg/kg、n=31)、従来投与群(従来群)には総体重に基づくロクロニウムを投与(0.45mg/kg、n=30)。全身麻酔は同じプロトコールで行われた。記録されたパラメータは、患者の全身状態、筋弛緩薬の使用量、筋弛緩薬の効果発現時間、無反応時間、臨床効果時間、75% 回復時間、回復指数などであった。さらに、手術中の体動、窒息、不完全な筋弛緩の発生も記録された。

従来群に比べ、SM 群ではロクロニウム投与量が有意に少なく、その結果、無反応時間、臨床効果時間、75% 回復時間、回復指数が有意に低く(p<0.05)、効果発現時間はわずかに長い。いずれの群も体動、窒息、不完全な筋弛緩をきたすことはなかった(p>0.05)。

肥満患者の短時間手術において、ロクロニウム投与量の算出に骨格筋重量を利用することで、投与量を減らし、回復時間を短縮し、残存筋弛緩を防ぎながら、手術必要量を満たす十分な筋弛緩を達成する可能性がある。

:かなり以前から家庭用の体重計でも体脂肪率とか出せるから、肥満患者では骨格筋重量 1mg/kg というのをロクロニウム標準投与量とするのがいいのかもしれないな。

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