仰臥位の場合と 25°上体挙上した場合で頭部挙上喉頭鏡位での喉頭鏡検査および気管挿管時の麻酔科医の姿勢と快適性を比較:無作為臨床クロスオーバー試験

HELPposition.png・喉頭部可視化を高めるために頭部挙上喉頭鏡位(HELP)と 25°上体挙上が提案されているが、人間工学的な不快感に対する懸念が普及を妨げている。本研究では、麻酔科医が患者を HELP 位で仰臥位または 25°上体挙上で喉頭鏡検査および気管挿管を行う際の快適性と姿勢を比較する。

・本研究では、気道が正常な年齢 18〜60 歳の患者 48 人と経験豊富な麻酔科医 12 人を対象とした。患者を 2 群に無作為に分け、順列ブロック無作為化を行った。麻酔科医は仰臥位 HELP と 25°上体挙上 HELP 体位で喉頭鏡検査と挿管を行った。麻酔科医の姿勢は、首、手首、肘、背中、膝の関節の角度を測定することによって決定し、Student t 検定を用いて比較し、主観的な快適さは Likert スケールで評価し、カイ二乗検定を用いて比較した。麻酔科医が評価した Cormack- Lehane 分類も記載し、P<0.05 を有意として、カイ二乗検定を用いて群間で比較した。

どちらの体位も麻酔科医の姿勢(P=0.919)と快適性(P=0.644)は同等であった。しかし、25°の上体挙上 HELP 体位は Cormack-Lehane グレードを有意に改善し、68% がグレード 1 を達成したのに対し、仰臥位 HELP 群では 31% であった(P=0.012)。血行動態の安定性と気管挿管時間は両群間に有意差はなく(それぞれ P=0.475 と 0.117)、いずれの群でも合併症は報告されなかった。

気道確保が容易な患者において、喉頭鏡検査と気管挿管時の麻酔科医の姿勢と快適性は、仰臥位と 25°上体挙上位の間で同様である。

HELP 体位に、25 度の上体挙上を行うと、 Cormack-Lehane グレードを有意に改善すると。

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