ビデオ補助胸部手術におけるラリンジアルマスクの臨床評価：無作為化比較試験のメタ分析

・気管挿管はしばしば咽頭痛や嗄声などの術後合併症と関連し、患者の満足度を低下させ、入院期間を延長させる。ラリンジアルマスク（LMA）は、気管挿管に関連する気道合併症の軽減に重要な役割を果たしている。このメタ分析は、ビデオ補助胸部手術（VATS）における LMA の有効性と安全性を明らかにするために行われた。

・PubMed、Embase、Cochrane Library、Medline、Web of Science の各データベースから、創始時点から 2023 年 10 月 5 日までの適格な研究を検索した。RCT のバイアスの可能性を評価するために Cochrane ツール（RoB 2）を使用した。結果の頑健性を評価するために感度分析とサブ群分析を行った。

・本メタ分析には 7 件の論文が含まれた。気管挿管と比較して、LMA では、術後在院日数（SMD= -0.47、95%CI= -0.98-0.03、P=0.06）、術中最低 SpO₂（SMD=0.00、95%CI= -0.49-0.49、P=1.00）、低酸素血症（RR=1.00、95%CI= 0.26-3.89、P=1.00）、術中最高 PetCO₂（SMD=0. 51、95%CI＝-0.12-1.15、P＝0.11）、術野満足度（RR＝1.01、95%CI＝0.98-1.03、P＝0.61）、麻酔時間（SMD＝-0.10、95%CI＝-0. 30-0.10、P=0.31）、手術時間（SMD=0.06, 95% CI= -0.13-0.24、P=0.55）、出血量（SMD=- 0.13, 95% CI= -0.33-0.07、P=0.21）に有意差はなかった。しかし、LMA は咽頭不快感（RR=0.28, 95% CI = 0.17-0.48、P＜ 0.00001）および術後嗄声（RR = 0.36, 95% CI = 0.16-0.81、P= 0.01）の発生率が低く、気管挿管は術後覚醒時間の延長（SMD= -2.19, 95% CI= -3.49 - 0.89、P= 0.001）と関連していた。

・気管挿管と比較して、LMA は VATS 後の咽喉頭不快感や嗄声の発生率を効果的に減少させ、麻酔からの回復を早める可能性がある。LMA は、特定の胸部外科手術において、気管挿管に代わる選択肢となるようであり、VATS における LMA の有効性と安全性を今後さらに検討する必要がある。

ひこ

腹腔鏡、胸腔鏡手術では、通常は、いつでも気管挿管に変更できるので、声門上器具で十分麻酔可能だな。ただ、患者の頭元からあまり離れられないというのが難点かな。患者優先か、自分優先か・・・で悩むところだ。

【出典】
Clinical evaluation of laryngeal mask airways in video-assisted thoracic surgery: a meta-analysis of randomized controlled trials
J Cardiothorac Surg. 2024 Jun 24;19(1):361.

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