人工関節全置換術における脊髄幹麻酔と全身麻酔の有効性の比較:最近のデータを用いた最新の後ろ向き分析

THA・TJA.png・10 年以上前、著者らの研究群は、人工股関節/人工膝関節全置換術(THA/TKA)患者において、全身麻酔と比較して脊髄幹麻酔を行った方が転帰が改善することを示した。脊髄幹麻酔の使用が増加し、麻酔法が進歩するにつれて、以前に発見された差がまだ残っているかどうかを確認するためには、最新の解析が不可欠である。

本後ろ向きコホート研究では、2006 年から 2021 年までの待機的 THA/TKA を対象とした。多変量回帰モデルは、麻酔の種類(脊髄幹、全身、複合)といくつかの有害転帰(肺塞栓症、脳血管イベント、肺機能低下、心合併症、急性心筋梗塞、肺炎、全感染症、急性腎不全、消化器合併症、術後人工呼吸、集中治療室入室、輸血)との関連を測定し、モデルは期間別(2006〜2015 年、2016〜2021 年)と THA/TKA に分けて実行した。

・2006〜2015 年の THA は 587,919 件、2016〜2021 年の THA は 499,484 件であり、TKA では 1,186,483 件、803,324 件であった。THA では、脊髄幹麻酔の使用は 2006 年の 10.7% から 2021 年には 25.7% に増加した。両期間において、特に脊髄幹麻酔は、全身麻酔よりも、ほとんどの有害転帰のオッズ低下と関連しており、2006〜2015 年に対して 2016〜2021 年ではより強い(保護的)効果推定が観察されることもあった(例えば、急性腎不全 OR 0. 72 CI 0.65〜0.80 vs OR 0.56 CI 0.50〜0.63、輸血 OR 0.91 CI 0.89〜0.94 vs OR 0.44 CI 0.41〜0.47、それぞれ p<0.001)。同様のパターンが TKA にも存在した。

・これらの所見は、本研究群が 10 年前に行った研究をより新しいデータを用いて再確認したものであり、整形外科大手術における脊髄幹麻酔の持続的な有用性に向けた新たなエビデンスを提供するものである。

少なくとも我々の施設では THA/TKA の麻酔は、ほとんどの場合に脊髄幹麻酔+全身麻酔であり、全身麻酔単独はまずない。

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