麻酔科医不足は深刻だ!

日本麻酔科学会が提供している 2023 年度の e-Learning のうち、聖路加国際病院 麻酔科 阿部世紀先生の 講義「手術室外での安全な鎮静」の中で、2019 年 10 月に一般社団法人 日本病院会の医療政策委員会が実施した「2019 年度 勤務医不足と医師の働き方に関するアンケート調査」の報告書の中から、調査対象病院 362 施設のうち、なんと 42.3% の病院が、「麻酔科医師が不足している」という結果だったことが紹介されていました。

一般病院にとって、28 診療科のうち、もっとも需要の高い診療科は麻酔科である
ことが報告されているのです。
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麻酔科医という診療科は、けっして患者さんからの要望のある診療科ではありませんが、外科系の診療科を抱えていて、多くの手術を実施している病院では、麻酔科医師数がネックになって、手術件数を増やせない病院も多いのでしょう。

病院にとって「手術」というのは一番「稼ぎ」の多い部門なので、手術件数を増やすことでなんとか病院収支を改善しようと、どこの病院も躍起になっているのは周知の事実です。手術を増やすためには、どこの病院も麻酔科医師を欲しがっているということなのでしょう。

この結果を見れば、「麻酔科医を目指すのが一番『食いっぱぐれ』がない」というのが分かるでしょう。また、最終的に「この地域に住みたい!」という思いも実現可能な確率が高いということになるでしょう。もう、5 年も前の調査結果ですが、この傾向は今も変わっていないはずです。この結果を一人でも多くの一般市民に伝えて、麻酔科を目指してくれる学生や研修医を増やそうではありませんか!

まずは、日本麻酔科学会が、このアンケート調査の結果を大々的に取り上げて宣伝してくれるといいのですが・・・

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