全身麻酔下で人工膝関節置換術を受ける高齢者の術後せん妄発生率に対するフェニレフリンとエフェドリンの効果:単施設試験

・エフェドリンとフェニレフリンは血圧を安定させるだけでなく、局所脳酸素飽和度(rSO2)にも異なる影響を及ぼす。しかし、 rSO2 への効果が術後せん妄(POD)の発生に影響するかどうかは不明である。そこで本研究の目的は、全身麻酔下で人工膝関節置換術を受けた高齢者において、POD の発生率に対する血圧維持のためのエフェドリンとフェニレフリンの効果を比較することである。

・本研究では、年齢 60 歳から 90 歳で人工膝関節置換術を受けた患者 120 人を対象とした。患者は無作為にエフェドリン群とフェニレフリン群の 2 群に分けられた。麻酔導入後、エフェドリンとフェニレフリンを持続注入し、術中の平均動脈圧を正常範囲(ベースライン平均動脈圧±20%)に維持した。主要評価項目は術後 1〜3 日以内の POD 発症率であった。

術後 1 日目の POD 発生率はフェニレフリン群よりエフェドリン群で低かった(33% vs 7%、P<0.001)。しかし、術後 2 日目と 3 日目の POD 発生率には両群間に有意差はなかった。フェニレフリン群と比較して、エフェドリン群では心拍出量(CO)とrSO2が有意に大きかった。(P< 0.05)

エフェドリンの方がフェニレフリンよりも心拍出量が維持されるから POD が少ないということか。

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