肺動脈カテーテルがオフポンプ冠動脈バイパス術を受けた患者の短期転帰に及ぼす影響:単施設の後ろ向き研究

SGカt-テル.png・肺動脈カテーテル(PAC)はオフポンプ冠動脈バイパス術(OPCAB)を受ける患者に広く使用されている。しかし、一次データからは、手術環境における PAC の有用性は限定的であることが示唆された。そこで本研究では、OPCAB 手術を受けた患者の短期転帰に対する PAC の効果を推定することを目的とした。

・2020 年 11 月から 2021 年 12 月までに初回単独 OPCAB 手術を受けた連続患者の特徴、術中データ、術後転帰を後ろ向きに抽出した。患者は PAC 挿入状況により2群(PAC 群と非 PAC 群)に分けられた。データは PAC 群と非 PAC 群の 1:1 傍直近傾向スコアマッチドペアで解析した。

・初回単独 OPCAB 手術を受けた 1004 人の中国人患者のうち、506 人(50.39%)が PAC を挿入されていた。傾向スコアマッチングにより 397 組の均等バランスのとれたペアが得られた。PAC なし群(中心静脈カテーテルの留置のみ)と比較すると、PAC の利用はコホート全体またはマッチさせたコホートにおいて院内死亡率の改善とは関連していなかった。それでも、マッチさせたコホートでは、PAC の使用はエピネフリンの使用量と病院経費を増加させることが示された。

・本研究では、OPCAB 手術患者における PAC の使用には明らかな利益も害もないことが示された。さらに、PAC の使用はより高価であった。

人工心肺装置を使用しない OPCAB では、PAC のメリットはなさそうだな。

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