■ 臨床麻酔とクリティカルケアのMCQ問題 ■ 2024/08/01
【問題1】(心臓・血管) 人工心肺について正しいのはどれか。 | ア:逆向性心筋保護法では右室の保護が十分でない。 イ:逆向性心筋保護法の注入圧は40mmHg以上にしてはいけない。 ウ:通常カニューレの挿入は脱血管を先に行う。 エ:通常カニューレの抜去は送血管を先に行う。 オ:復温時の送血温と脱血温の温度差は10度以内とする。 |
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[解説] 高度冠動脈狭窄例や左主冠動脈病変ではantegradeでは確実な心筋保護は得られないため、冠静脈洞から逆向性に注入する逆向性心筋保護法を用いる。この場合、右室の保護が十分でないことや、冠静脈洞損傷の危険性が欠点である。順行性心筋保護法の注入圧は、80〜150mmHg、逆向性では40mmHg以上にしてはいけない。通常カニューレの挿入はいつでも送血可能なように送血管を先に行う。カニューレの抜去は不慮の出血に備えて脱血カニューレ、送血カニューレの順で抜去する。復温時の送血温と脱血温の温度差は10度以内とし、水温は42度を越えないように注意する。
[正解] (ア)、(イ)、(オ) [出典] LiSA Vol6-No2-p107(1999)
【問題2】(静脈麻酔) モルヒネの薬動力学について正しいのはどれか。 | ア:モルヒネ静脈内投与後の血漿中の半減期は、約12時間である。 イ:静注されたモルヒネの60〜80%は、代謝されずに尿中に排泄される。 ウ:モルヒネはCO2応答曲線を右方に移行させる。 エ:モルヒネは、フェンタニルより脂溶性が低い。 オ:高齢者では、モルヒネに対する感受性が低下する。 |
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[解説] 血漿中半減期は、健康人においては、フェンタニルで3.5時間、モルヒネで1.5〜3時間である。モルヒネの代謝は抱合により、グルクロン酸との結合で、主にmorphine-3-glucuronide を作る。静注されたモルヒネの60〜80%は代謝され、その大部分と、代謝を受けないモルヒネ(10%)が尿中に排泄される。モルヒネ0.15mg/kg、フェンタニル2μg/kgの筋注は、CO2応答曲線の勾配にはほとんど影響を与えないが、右方へ移行させる。モルヒネは油/水分配係数が低く、フェンタニルより脂溶性が低い。高齢者では、モルヒネに対する感受性が高い。
[正解] (ウ)、(エ) [出典] 第30回麻酔指導医認定筆記試験:A19
【問題3】(中枢神経) 一定の頭位のみで回転性めまいと眼振が出現し、頭位を保つ限り持続し、再現性があり減衰しない場合には何を考えるか? | 1) 悪性のめまい(小脳・脳幹性) 3) 鎖骨下盗血症候群 5) 良性発作性頭位変換眩暈症 | 2) 頸性めまい 4) 前庭神経炎 |
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[解説] 一定の頭位のみで回転性めまいと眼振が出現し、頭位を保つ限り持続し、再現性があり減衰しない場合には悪性のめまい(小脳・脳幹性)を考えるべきである。→小脳・脳幹正中部の出血、梗塞、腫瘍を疑う。救急外来で:回転性めまい、嘔吐の患者では小脳出血、小脳梗塞をマークする。頭部CTに走るべき回転性めまい、嘔吐:(1)はっきりした頭痛も一緒に訴える場合 (2)高齢者ではじめての回転性めまい、嘔吐 (3)高血圧 (4)嘔吐がひどく途中からコーヒー残渣様嘔吐になる場合.後頭蓋窩のCTスキャンはアーチファクトが多いので必ずthin sliceで切るように指示する。小脳出血、小脳梗塞は原則として全例、即、脳外科医にコンサルト!意識障害が出現し始めてからでは手遅れになる!
[正解] 1 [出典] 内科レジデントマニュアルP14
【問題4】(肝・腎・消化管) 急性虫垂炎のサインで、「右下腹部の反跳痛(押した手指を離すときに痛みが惹起される)」のはどれか? | 1) Rossensteinサイン 3) Blumbergサイン 5) McBurneyサイン | 2) Rovsingサイン 4) Lanzサイン |
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[解説] 急性虫垂炎のサインで、「下行結腸に沿って口側に向かって押さえると右下腹部に痛みがある」場合をRovsingサイン陽性と言う。「左側臥位で、股・膝関節を曲げた姿勢でMcBurneyあるいはLanz圧痛点に痛みがある」のはRossenseinサイン、「右下腹部の反跳痛(rebound tenderness、押した手指を離すときに痛みが惹起される)」のはBlumbergサインである(ただし、Blumbergサインは右下腹部に限定したものではない)。McBurney の圧痛点とは右前腸骨棘−臍線上の外1/3を、Lanz の圧痛点とは左右前腸骨棘線上の右外1/3を言う。
[正解] 3 [出典] 新臨床内科学第6版P495
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