全身麻酔導入時の女性の血行動態変動に対する音楽の効果:多施設共同前向き無作為化比較試験

音楽を聴く女性.png・著者らの目的は、待機的非心臓手術を受けた女性の全身麻酔導入時の血行動態変動に対する音楽の効果と術前不安の軽減を検討することである。

・多施設共同二重盲検無作為化並行群間臨床試験である。患者は 1:1 で音楽介入群(MI 群)と対照群(C 群)に無作為に割り付けられた。MI 群の参加者は、待合室で 30 分以上好みの音楽を聴いた。各群の不安レベルを測定するために、State-Trait Anxiety Inventory(STAI)が用いられ、導入前(T0)、意識消失時(T1)、挿管直前(T2)、挿管後(T3)の血行動態パラメータ(心拍数[HR]、平均動脈圧[MAP])を連続的に記録した。挿管関連の有害事象も記録した。主要評価項目は、T0〜T2 におけるベースラインから 20% 以上の MAP 変化の発生率とした。

・合計 164 例が最終解析に組み入れられた。T0-T2 における MAP 不安定性の発生率は MI 群で低く、その発生率の差の 95% 信頼区間は MI 群の優位性を示した。HR 不安定症は T0-T2、T2-T3 ともに MI 群の方が少なかった。術前不安の全発生率は 53.7%(88/164)であった。音楽介入後、STAI の平均スコアは MI 群で C群より有意に低く、群間差は 8.01 であった。

待機的非心臓手術を受ける女性において、術前音楽介入は麻酔導入時の血行動態不安定を効果的に予防し、術前不安を有意に軽減した。

やはり音楽というのは、心理的な不安定性を軽減するのだな。

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