成人患者における気管挿管の容易性に関する麻酔科医の 2 つの異なる姿勢の比較:無作為化比較試験

坐位.png・気管にカフ付き気管チューブ(ETT)を留置して気道を確保することは、依然として最も重要な麻酔法の一つである。術前における挿管の難易度を評価するために多くのパラメータが報告されているが、全ての挿管困難を予測できるものはない。気管挿管を成功させるためには、麻酔科医の正しい姿勢も重要な要素である。 本研究の目的は、気管挿管時の麻酔科医の 2 つの異なる姿勢(坐位と立位)の影響を比較することである。

・年齢 17〜65 歳、Mallampati グレード=I/II、開口=39〜70mm、胸骨間距離(TMD)=6〜6.5cm、胸骨間距離(SMD)≧13cm の、待機的腹腔鏡下胆嚢摘出術を予定している ASA-PS I/II 患者 110 人を募集した。患者を 2 群に分け、I 群は坐位の麻酔科医による気管挿管を受けた患者、II 群は立位の麻酔科医による気管挿管を受けた患者とした。評価項目には、挿管のしやすさ(IDS スコア)、挿管時間、挿管成功率、試行回数、喉頭鏡のグレード(Cormack Lehane スコア、POGO スコア)、歯牙や軟部組織の損傷などの合併症が含まれた。

挿管の容易さは、1(0-1)の I 群が 1(1-2)の II 群より高く(p=0.02)、両群間に有意差があった。Cormack Lehane 分類(CL)は、I 群では I/IIa/IIb/III=19/23/13/0 で 、II 群では I/IIa/IIb/III=13/21/18/3 であった。初回挿管成功率は I 群94.54%、II 群92.72% であった。

喉頭鏡検査時の麻酔科医の坐位姿勢は、立位姿勢と比較してより良好な挿管条件を提供する。

麻酔科医の姿勢が重要なのか、それとも、麻酔科医の顔面位置と患者の頭頸部の相対的位置関係が重要なのか? 坐位のほうが立位よりも、患者の頭頸部を、麻酔科医の頭頸部〜胸部に対して相対的に高くできるから挿管しやすくなるのだろう。

この記事へのコメント