Q:ラリンジアルマスク挿入前の麻酔導入にはどういう薬剤を使うか?
Windows の Copilot にタイトルの質問をしてみました。以下がその回答の概略です。
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ラリンジアルマスク(LMA)挿入前の麻酔導入には、一般的に以下の薬剤が使用されます:
1. プロポフォール:速やかな意識消失をもたらし、短時間作用型の全身麻酔薬です。
2. フェンタニル:強力なオピオイド鎮痛薬で、痛みの管理に使用されます。
3. レミフェンタニル:超短時間作用型のオピオイドで、迅速な効果発現と回復が特徴です。
4. ミダゾラム:ベンゾジアゼピン系の鎮静薬で、不安の軽減と鎮静を目的に使用されます。
5. ロクロニウムまたはベクロニウム:筋弛緩薬で、気道確保を容易にするために使用されます。
これらの薬剤を組み合わせて使用することで、患者の意識を消失させ、筋弛緩を促し、痛みを管理しながら安全にLMAを挿入することができます。
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非常にまともな回答が得られました。
私は、通常は、
1. セボフルラン吸入(5%)
2. プロポフォール
3. フェンタニル(または、ペンタゾシン)
4. リドカイン
を使用しています。
ラリンジアルマスクを使用する全身麻酔を行う場合、個人的には、自発呼吸を温存することも目的のひとつなので、通常は、筋弛緩薬は使用しません。ただ、気管挿管時と同様に人工呼吸を行う場合には、筋弛緩薬も併用します。
レミフェンタニルは、強力すぎて、フェンタニルよりも筋硬直による換気困難に陥る危険性が高いので、原則として自発呼吸を残した状態でのラリンジアルマスクとの併用はしません。
また、ミダゾラムは、プロポフォールに比較して咽頭喉頭反射抑制作用が弱いために、ラリンジアルマスク挿入との相性がよくないので、まず使用しません。ラリンジアルマスクが世界的に普及する過程で、バルビタール剤やベンゾジアゼピン類に比べて、咽頭喉頭反射抑制作用の強いプロポフォールとの相性がよかったために、ラリンジアルマスクとプロポフォールは同時に普及したという経緯があります。
短時間で低侵襲の手術の場合、フェンタニルに代わりにペンタゾシンを使用することも多いです。フェンタニルは過量投与で、強い呼吸抑制のために呼吸停止が起こることがあり、その場合、しばらく人工呼吸する必要性が生じたりしますが、ペンタゾシンの場合には、フェンタニルほどには呼吸抑制作用が強くないので、そのような心配がほとんどありません。また、麻薬箋を発行する必要がないために「手間」をひとつ削減できることもメリットです。
リドカインは、プロポフォールによる血管痛を軽減するためと、咽頭喉頭反射の軽減のために使用しています。鎮痛剤としてフェンタニルではなく、ペンタゾシンを使用する場合には、5ml シリンジに、1%リドカイン 5ml とペンタゾシン 1ml(15mg)を混合して吸っておき、シリンジ 1 本節約、注入時のシリンジ取り換えの手間を省くようにしています。
各薬剤の使用量については、気管挿管の場合には、しょせん人工呼吸を前提としており、筋弛緩薬も併用するし、過量投与して自発呼吸が出なくても問題ありませんが、ラリンジアルマスクの場合には、LMA 挿入後に、適時に自発呼吸が出現するように、鎮静剤(プロポフォール)と鎮痛剤(フェンタニル)を過量投与しないように気を付けています。
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ラリンジアルマスク(LMA)挿入前の麻酔導入には、一般的に以下の薬剤が使用されます:
1. プロポフォール:速やかな意識消失をもたらし、短時間作用型の全身麻酔薬です。
2. フェンタニル:強力なオピオイド鎮痛薬で、痛みの管理に使用されます。
3. レミフェンタニル:超短時間作用型のオピオイドで、迅速な効果発現と回復が特徴です。
4. ミダゾラム:ベンゾジアゼピン系の鎮静薬で、不安の軽減と鎮静を目的に使用されます。
5. ロクロニウムまたはベクロニウム:筋弛緩薬で、気道確保を容易にするために使用されます。
これらの薬剤を組み合わせて使用することで、患者の意識を消失させ、筋弛緩を促し、痛みを管理しながら安全にLMAを挿入することができます。
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非常にまともな回答が得られました。
私は、通常は、
1. セボフルラン吸入(5%)
2. プロポフォール
3. フェンタニル(または、ペンタゾシン)
4. リドカイン
を使用しています。
ラリンジアルマスクを使用する全身麻酔を行う場合、個人的には、自発呼吸を温存することも目的のひとつなので、通常は、筋弛緩薬は使用しません。ただ、気管挿管時と同様に人工呼吸を行う場合には、筋弛緩薬も併用します。
レミフェンタニルは、強力すぎて、フェンタニルよりも筋硬直による換気困難に陥る危険性が高いので、原則として自発呼吸を残した状態でのラリンジアルマスクとの併用はしません。
また、ミダゾラムは、プロポフォールに比較して咽頭喉頭反射抑制作用が弱いために、ラリンジアルマスク挿入との相性がよくないので、まず使用しません。ラリンジアルマスクが世界的に普及する過程で、バルビタール剤やベンゾジアゼピン類に比べて、咽頭喉頭反射抑制作用の強いプロポフォールとの相性がよかったために、ラリンジアルマスクとプロポフォールは同時に普及したという経緯があります。
短時間で低侵襲の手術の場合、フェンタニルに代わりにペンタゾシンを使用することも多いです。フェンタニルは過量投与で、強い呼吸抑制のために呼吸停止が起こることがあり、その場合、しばらく人工呼吸する必要性が生じたりしますが、ペンタゾシンの場合には、フェンタニルほどには呼吸抑制作用が強くないので、そのような心配がほとんどありません。また、麻薬箋を発行する必要がないために「手間」をひとつ削減できることもメリットです。
リドカインは、プロポフォールによる血管痛を軽減するためと、咽頭喉頭反射の軽減のために使用しています。鎮痛剤としてフェンタニルではなく、ペンタゾシンを使用する場合には、5ml シリンジに、1%リドカイン 5ml とペンタゾシン 1ml(15mg)を混合して吸っておき、シリンジ 1 本節約、注入時のシリンジ取り換えの手間を省くようにしています。
各薬剤の使用量については、気管挿管の場合には、しょせん人工呼吸を前提としており、筋弛緩薬も併用するし、過量投与して自発呼吸が出なくても問題ありませんが、ラリンジアルマスクの場合には、LMA 挿入後に、適時に自発呼吸が出現するように、鎮静剤(プロポフォール)と鎮痛剤(フェンタニル)を過量投与しないように気を付けています。
この記事へのコメント
筋弛緩なしでのLMA挿入とのことですが、鎮静が浅いと喉頭痙攣など起こすと思います。先生はプロポフォールをどのぐらい使われますでしょうか。Sev5%と併用することでプロポフォールの必要量を減らし、自発呼吸を出しやすくする計画であっていますか。
駄文失礼いたしました。
>筋弛緩なしでのLMA挿入とのことですが、鎮静が浅いと喉頭痙攣など起こすと思います。
おそらく、昔、LMA 初心の頃はそんなこともあったと思いますが、ほとんどそんなことはないです。万が一「喉頭痙攣」が起こった時には、その時に、筋弛緩薬を使用すればよいのではないですか? 喉頭痙攣を恐れて、LMA を挿入するのに、毎回ルーチンに、筋弛緩薬を使用するのは無駄だと思います。
筋弛緩薬を使用なくてもよいことが、LMA で気道確保することのメリットのひとつと考えています。
・筋弛緩薬を準備しなくて良い。
・筋弛緩モニターを使用しなくても良い。
・筋弛緩の回復、拮抗を考慮する必要がない。
>プロポフォールをどのぐらい使われますでしょうか。
プロポフォール 1~1.5 mg/kg、フェンタニル 1μg/kg、キシロカイン 1mg/kg、呼気セボ>2% で、軽い力で開口ができる状態で行っています。経験的に、口が硬いのに無理に入れようとすると、吐き出されてしまったり、咳反射や喉頭痙攣を起こしたりするように思います。
>Sev5%と併用することでプロポフォールの必要量を減らし、自発呼吸を出しやすくする計画であっていますか。
そうですね。プロポやフェンタを使いすぎると自発呼吸が出ませんよね。プロポの量が減らせる一番の併用薬剤は、フェンタニル(あるいは、ペンタゾシン)であると考えていますが、セボフレンを併用しているのは、麻酔深度を深くし、セボの筋弛緩効果も期待しているからです。
いいタイミングで自発呼吸が復活するように、気管挿管の時よりも、薬液量の匙加減は多少難しいと思います。
経験豊かな先生にご返信頂けるなんて、と感激しております。
ご明察通り、最近LMA管理を始め試行錯誤しています。
筋弛緩不使用であること、自発呼吸を保ちながら管理できることは
目標の一つであります。
喉頭痙攣に関して、先生の仰るとおりですね。喉頭痙攣が起きればすぐに投与できるよう手元にバイアルとシリンジを用意するようにします。呼気Sev1程度で挿入していたので、今後2でやってみます。
重ねて質問で申し訳ないのですが、自発呼吸管理となるとオピオイドがあまり必要ない状況(侵襲が大きくない手術、もしくは硬膜外麻酔,神経ブロックなどで除痛されている)であるという認識で合ってますでしょうか。素全麻TKAターニケットありなどでは自発呼吸管理をする術はありますでしょうか。
もしご返信頂けたら幸いです。
>呼気Sev1程度で挿入していたので、今後2でやってみます。
そうですね、その方が良いと思います。
>侵襲が大きくない手術、もしくは硬膜外麻酔,神経ブロックなどで除痛されている・・・
自発ラリマで管理している症例は、通常は手術時間<3時間の、体表、四肢末梢の手術、下腹部の頚会陰手術などです。
具体的には、
産婦人科:経腟手術(円膵切除、筋腫分娩)
泌尿器科:経尿道的手術(TUR-Bt、TUR-P(脊麻併用)、TUL)
整形外科:脊麻あるいは硬膜外下の TKA THA BHP、局所麻酔 or 神経ブロックありの 大腿骨頚部骨折の骨接合、小切開で済む抜釘術、腋窩アプローチ腕神経叢ブロックありの前腕骨折手術、
血管外科:TLA麻酔下の静脈瘤手術
以前は、外科の乳房切除
脊麻や硬膜外、神経ブロックが効いている場合は、フェンタニルの間欠投与は必要ありません。
脊麻や硬膜外、神経ブロックがしてない場合は、呼吸数を見ながら若干呼吸抑制されるように(呼吸数= 8~15 回/分に、フェンタニルを間欠投与していきます。
標準的な鎮痛モニターがまだ臨床に普及していない現在、自発呼吸を温存しながら、その呼吸数を「鎮痛モニター」と考えて、フェンタニルを追加していきます。個人的には「ラリマ・フェンタ麻酔」と呼んでいます。
>素全麻TKAターニケットありなどでは自発呼吸管理をする術はありますでしょうか。
TKA は、素全麻では術後鎮痛に問題があると思います。
以前は、硬膜外を、数年前からは、帝王切開の麻酔(SSS)と同様のオピオイド脊麻(モルヒネ 0.1mg+フェンタニル 10-20μg+マーカイン 12-15mg)を併用して、自発ラリマ管理しています。
当院では、大きな手術は少ないので、自発ラリマ管理している麻酔症例が半分以上あると思います。今後は、腹腔鏡手術(ラパアッペ、TAPP、卵巣腫瘍など)でも気管挿管ではなくて、人工呼吸下ラリマ(本当は第2世代がいいのでしょうが)で管理していきたいなと思っています。
「ラリマ・フェンタ麻酔」で鎮痛を事前にコントロールできれば患者さんにとっても麻酔科医にとっても良いことでWin-winですよね。
当院では整形外科医の意向(術後早期にリハビリを始める、神経症状の確認)でカクテル麻酔のみでの鎮痛となっています。(麻酔科医としては翌日のリハビリで痛がっているのを見てせめてiv-PCAをつけてあげたいのですが・・)
モルヒネとフェンタを併用した脊麻は初めて伺いました。教えて頂きありがとうございます。
LMAの腹腔鏡への応用、頭高位になるようなラパ胆などから導入できそうですね。当院では腹臥位の内視鏡椎弓形成術などLMA管理しています。(賛否両論ありますが)
先生の貴重なお時間を割いて頂きありがとうございました。
影ながらブログの更新楽しみにしています。