非心臓手術後の高齢患者の長期死亡率に対する吸入麻酔と全静脈麻酔の効果:後ろ向き観察研究

吸入麻酔8.png・使用する麻酔薬が高齢患者の術後死亡率に影響を及ぼすかどうかは依然として不明である。著者らは、非心臓手術後の高齢患者において、長期死亡率に及ぼす全静脈麻酔(TIVA)と吸入麻酔の影響を評価した。

・2011 年 1 月〜 2019 年 6 月に全身麻酔下(2 時間以上)で非心臓手術を受けた年齢 60 歳以上の患者 45,879 例を後ろ向きに分析した。維持麻酔の種類により 2 群に分けた。主要転帰は術後 1 年以内の全死因死亡率とした。副次評価項目は、術後合併症(術後肺合併症、周術期有害心血管イベント、急性腎障害)、術後 3 年および 5 年死亡率であった。潜在的交絡因子の調整には安定化逆確率加重法を用いた。

45,879 例のうち、TIVA を受けた患者は 7273 例(15.9%)、吸入麻酔を受けた患者は 38,606 例(84.1%)であった。治療重み付けの逆確率で調整した結果、麻酔薬の種類と 1 年死亡率との間に関連はみられなかった(ハザード比=0.95;95% 信頼区間[CI] 0.84-1.08)。3 年および 5 年死亡率の結果は同様であった。しかし、吸入麻酔は術後合併症(術後肺合併症で オッズ比[OR]=1.30;95%CI 1.22-1.37:、周術期有害心血管イベントで OR=1.34;95%CI 1.22-1.48:、急性腎障害で OR=2.19;95%CI 1.88-2.57)のリスク上昇と関連していた。サブ群解析では、麻酔薬の選択は女性患者と緊急手術の 1 年死亡率に差のある影響を示した。

非心臓手術を受けた高齢患者において、術中の麻酔薬の選択は 1 年死亡率とは関連していなかった。

死亡率に差がなかったとはいえ、吸入麻酔で、術後合併症のリスク上昇と関係していたと!そうなのか〜! 意外だな。

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