■ 臨床麻酔とクリティカルケアのMCQ問題 ■ 2024/08/09

MCQ42.png



【問題1】(新生児、乳児) 新生児について正しいのはどれか。

ア:心拍出量は、心拍数に依存する。

イ:ボタロー管は、生後20日以内に閉鎖する。

ウ:収縮期血圧50mmHgは正常である。

エ:生体の位置は、成人に比して2椎体低い。

オ:出生直後のヘモグロビン値11g/dlは、正常である。


    ▼

    ▼

    ▼

[解説] 新生児の心拍出量は心拍数依存性である。ボタロー管の解剖学的閉鎖には約2〜3週を必要とするが、この間に低酸素血症、アシドーシスを来すと、再開通し胎児循環へ逆行する。平均収縮期血圧は生後12時間以内の65mmHg(早期産児では50mmHg)から、生後4日に75mmHg、6週に95mmHgへ上昇し、その後はこの値に定まる。満期産児では55〜70mmHgという報告もある。喉頭は成人(C4-5)に比し高い位置(C3-4)にあり、しかもより前方に位置している。生下時のヘモグロビン値は20g/dlであるが、生後1ヵ月頃には14g/dlくらいまで低下する。


[正解] (ア)、(イ)、(ウ) [出典] 第30回麻酔指導医認定筆記試験:A26



【問題2】(筋弛緩) 骨格筋アセチルコリン受容体について正しいのはどれか。

ア:4種のサブユニット蛋白より構成される。

イ:アセチルコリンはαサブユニットに結合する。

ウ:非脱分極性筋弛緩薬はβサブユニットに結合する。

エ:熱傷後発現する受容体は非脱分極性筋弛緩薬への親和性が高い。

    ▼

    ▼

    ▼

[解説] mature、あるいはjunctional type受容体は5個のサブユニットによって形成されている。4つの蛋白はα、β、ε、およびδサブユニットと呼ばれ、2:1:1:1の比率で存在している。アセチルコリンおよびアセチルコリン受容体に結合する若干の薬物に対する結合部位はαサブユニットに局在している。非脱分極性筋弛緩薬はαサブユニットに結合する。熱傷後、筋膜におけるアセチルコリン受容体数が増加(upregulation)し、AChやSchに対する感受性は亢進するが、逆に非脱分極性筋弛緩薬に対しては感受性が低く抵抗性である。(参考)Lisa Vol3 No5p412


[正解] (ア)、(イ) [出典] 第33回麻酔指導医認定筆記試験:A10




【問題3】(心臓・血管) 次の分類のうち、問診の結果からだけで判定できるのはどれか?
1) Lown
3) NYHA
5) Rubenstein
2) Forrester
4) Killip


    ▼

    ▼

    ▼

[解説] NYHA(ニューヨーク心臓協会分類1度〜4度)は、日常生活活動による心疾患患者の重症度分類であり、問診の結果からだけで判定できる。Forrester分類(1977)は、Swan-Ganzカテーテルを使用して測定できる心拍出量(心係数:CI)と肺動脈楔入圧(PCWP)の値から、急性心筋梗塞の左心機能を血行動態面から4つのサブセットに分類したものである。LownはHolter心電図での心室性期外収縮の重症度をgrade0〜5に分類した。gradeがすすむと心室細動に移行する率が高くなる。Killipは、1967年急性心筋梗塞の心不全を身体所見(理学所見)の上から4型に分類した。この分類は聴診器1本で心不全の重症度が診断できる簡便さに加え、予後を的確に反映する指標となるため今日でも広く用いられている。Rubensteinは、洞不全症候群(SSS)を臨床的に1型(高度慢性洞性徐脈:HR<50)、2型(洞停止、洞房ブロック:P波が時々みられなくなる)、3型(徐脈頻脈症候群:俗称「ブラタキ」)の3型に分類した。


[正解] 3 [出典]





【問題4】(呼吸) 空気塞栓の診断上、もっとも感度の劣るモニターはどれか?
1) 水車音
4) 肺動脈圧
2) 心電図
5) 中心静脈圧
3) 動脈圧


    ▼

    ▼

    ▼

[解説] 空気塞栓の診断上、経食道心エコー(ドップラーの5〜10倍敏感)>前胸部ドップラー>終末呼気二酸化炭素濃度>中心静脈圧>肺動脈圧>動脈圧>水車音(食道聴診器で聴取)>心電図の順に敏感である。


[正解] 2 [出典] 第34回麻酔指導医認定筆記試験・問題−考え方−解答p29

この記事へのコメント