Q:麻酔導入時のレミマゾラムのボーラス投与量はどれくらいか?

Windows の Copilot にタイトルの質問をしてみた。
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レミマゾラムの麻酔導入におけるボーラス投与は、現在のところ推奨されていません。臨床試験が行われていないためです。代わりに、レミマゾラムは通常、持続投与で使用されます。具体的には、麻酔導入時には 12 mg/kg/h の速度で投与し、その後は1 mg/kg/hの速度で維持します。
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レミマゾラム3.pngレミマゾラム 50mg を 50ml(1mg/ml) に希釈した場合、12 mg/kg/h の速度は、60 kg の患者では 720ml/h となり、シリンジポンプでは通常投与不可能である。たとえ 10ml(5mg/ml)に希釈しとしても、12 mg/kg/h の速度は、60 kg の患者では 144ml/h となる。

添付書には持続投与とされているが、現実的は、ボーラス投与するのが実践的である。そこで、過去に当ブログで紹介した文献から、至適ボーラス投与量が調査された研究を以下に紹介する。

1.異なる年齢層における麻酔導入時の意識消失を達成するためのレミマゾラムの 95% 有効用量の決定
・全身麻酔導入時のレミマゾラムの ED95 は、若年群で 0.37 mg/kg(95% 信頼区間[CI]:0.28-0.39)、中年群で 0.37 mg/kg(95% CI:0.27-0.39)、高齢群で 0.25 mg/kg(95% CI:0.2-0.29)であった。

2.心臓手術を受ける患者における麻酔導入時のレミマゾラム単剤投与の有効性:前向き単施設無作為化比較試験
・待機的心臓手術を受ける患者を、レミマゾラム 6mg/kg/h の持続注入による麻酔導入(持続投与群)、レミマゾラム 0.1mg/kg の単回ボーラス注射(ボーラス 0.1 投与群)、レミマゾラム 0.2mg/kg の単回ボーラス注射(ボーラス 0.2 投与群)の 3 群のいずれかに無作為に割り付けた。
・反応消失までの時間は、連続投与群、ボーラス 0.1 投与群、ボーラス 0.2 投与群でそれぞれ 137±20 秒、71±35 秒、48±9 秒であった。

3.高齢手術患者における意識消失の誘発に必要なレミマゾラム投与量と年齢の関係
・全身麻酔下での手術が予定されている患者 120 名を対象とし、2 群に分けた: A 群(60 例、年齢 18〜64 歳)と B 群(60 例、年齢 65 歳以上)に分けた。レミマゾラムを 0.1 mg/kg/分で持続注入した。
・意識消失に必要なレミマゾラム量は、A 群で 0.26mg/kg、B 群で 0.19mg/kg であり、B 群のレミマゾラム投与量は A 群に比べて 26.9% 減少した。

0.1mg/kg を使用すれば、1分ちょっとで、0.2mg/kg を使用すれば、1分以内に意識消失させることができる。
POINTレミマゾラム 50mg を 50ml(1mg/ml) に希釈した場合、通常使用しているプロポフォールの麻酔導入用量(mL)とほぼ同じ
また、レミマゾラムもプロポフォールと同様に、高齢になるにしたがって必要量が減少する。

一方、以前から使用できる同系統のベンゾジアゼピン類であるミダゾラムについては、その添付書には、
<全身麻酔の導入及び維持>
通常、成人にはミダゾラム0.15〜0.30mg/kgを静脈内に注射し、必要に応じて初回量の半量ないし同量を追加投与する。

と記載されている。
ミダゾラム vs レミマゾラム.png
この図からもわかるように、ミダゾラムとレミマゾラムは構造的に非常に近似しており、その作用力価はほとんど同等と考えられていることからも、麻酔導入時のレミマゾラムのボーラス投与量としては、0.1~0.2 mg/kg が妥当と思われる。

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