■ 臨床麻酔とクリティカルケアのMCQ問題 ■ 2024/08/13

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【トラブル・シューティング】〜麻酔緊急Vol.1p128

(硬膜外麻酔)『持続硬膜外チューブよりの誤注入とその後の処置』

持続硬麻が広く利用されるようになり、誤注入の危険がある。術中、硬麻カテからエフェドリンの希釈液32mgを注入し、幸い合併症を認めなかった1例。文献上高濃度KCl(11.25%、15ml)、高張食塩水、コロジオンの注入で永久的脊髄症=対麻痺が起こっている。誤注入後の一般的治療:①薬剤の吸引と希釈:注入直後でなければ第2のカテを留置、洗浄・希釈 ②ステロイド投与:反応性浮腫を軽減 ③ヒアルロニダーゼ投与:細胞内間質の粘性低下薬剤の拡散と吸収を促進する ④局所麻酔薬の投与:血管収縮、痙縮を起こす可能性のある場合によい など








【問題1】(体液・電解質) 低Mg血症の症状として不適当なのはどれか?
1) 筋力低下
3) Chvostek徴候
5) 徐脈性不整脈
2) テタニー
4) Trousseau徴候


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[解説] 低Mg血症の症状:Mg<1mEq/lで臨床症状出現。①神経・筋系:tremor、Trousseau徴候、Chvostek徴候、テタニー、深部反射亢進、筋力低下 ②心臓血管系:QT延長、ST低下、T波平低化、心室性期外収縮、心室細動特に(QT延長+心室性期外収縮)はtorsade de pointes型VTからVfをきたし急死の危険性があるので見逃しては成らない。細胞内へのジギタリス取り込み増加とNa−K−ATPase活性低下をきたしジギタリス中毒を起こしやすくする。徐脈性不整脈をきたすのは高Mg血症。


[正解] 5 [出典] クリティカル記憶術2P161



【問題2】(血液) 輸血療法について正しいのはどれか?

ア:平均的成人男性の推定血液量は約65ml/kgである。

イ:赤血球濃厚液(RCC-LR)2単位の容量は約360mlである。

ウ:新鮮凍結血漿FFPにはMAP液は含まれていない。

エ:赤血球濃厚液-LRの有効期間は、採血後28日間である。

オ:新鮮凍結血漿-LR 1単位(FFP-LR-1)の容量は約120mLである。


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[解説] ア:×:平均的成人男性の推定血液量は約75ml/kgであり、平均的成人女性では約65ml/kgである。
イ:×:赤血球濃厚液(RCC-LR)1単位の容量は約140ml、2単位の容量は約280mlである。
ウ:○:新鮮凍結血漿FFPには大量にCPD液が含まれているがMAP液は含まれていない。そもそもMAP液は赤血球を保存するために開発された赤血球保存液である。
エ:×:赤血球濃厚液-LRの有効期間は、採血後21日間である。新鮮凍結血漿の有効期間は1年である。
オ:○:新鮮凍結血漿-LR 1単位(FFP-LR-1)の容量は約120mLである。以前は、1単位80mlであったが、2007年8月からは、1.5倍量の120mlとなっている。



[正解] 解説を参照 [出典] 麻酔科シークレット第2版 p33-39、各種血液製剤添付書




【問題3】(溺水・中毒・体温) 偶発性低体温症に対してactive external rewarming(電気毛布、お風呂)の適応は深部体温がどれくらいか?
1) 28〜32度
3) 25〜28度
5) 22度以下
2) 32〜35度
4) 22〜25度


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[解説] 33度以上ではpassive rewarming(室温で普通の毛布、自然回復を待つだけでよい)。28〜32度で呼吸循環不全がなければ、active external rewarming(温めた輸液を大量に、温めた酸素、電気毛布、おふろ)、28度以下では、38度の大量輸液、加温酸素で人工呼吸、active core rewarming(お湯で胃洗浄、膀胱洗浄、腹腔洗浄、胸腔洗浄人工心肺)を行なう。


[正解] 1 [出典] 研修医当直御法度p105

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