高齢者の股関節骨折患者に対する術前循環器科診察で追加的な推奨がなされることはほとんどなく、入院期間の延長や手術の遅れに関連する:後ろ向き症例対照研究

循環器診察.png・股関節骨折は高齢者の間でますます多くなってきており、術前の安定化を必要とする合併症の負担が大きいことが多い。そのため、術前に循環器内科を受診することが臨床現場では頻繁に行われている。本研究の目的は、術前循環器科コンサルテーションによって提供される追加的推奨事項、およびコンサルテーションが股関節骨折手術を受ける高齢患者の管理と転帰に及ぼす影響を調査することである。

・このマッチドコホート研究は、2016 年 1 月から 2017 年 12 月の間に当施設で股関節骨折の治療を受けた患者の臨床データを後ろ向きに評価するために行われた。臨床データおよび放射線学的データが入手可能な年齢 60 歳以上の個人を対象とした。これらの基準を満たした合計 262 人の患者が対象となり、192 人が循環器科の診察を受け、70 人が受けなかった。年齢、性別、ASA グレード、骨折の種類、手術の種類を照合し、50 人ずつの 2 群(A 群:術前循環器科受診を希望、B 群:術前循環器科受診を希望しなかった)を作成した。入院から手術までの期間、循環器科の診察による推奨事項、麻酔と手術の種類、入院期間、内科的合併症と整形外科的合併症の発生率、1 年死亡率を群間で比較した。

・A 群の平均年齢は 78.5 歳(±7.4歳)であったのに対し、B 群は 78.4 歳(±7.4歳)であった(p=0.99)。両群とも女性患者 30 人、男性患者 20 人ずつであった。麻酔の種類や内科的・整形外科的合併症の発生率に、両群間に有意差はなかった。しかし、A 群は B 群に比べ、入院から手術までの期間が有意に長く(5[1/9]日 vs 3[0/7]日;p=0.00)、入院期間も長かった(7[3/15]日 vs 5[1/19]日;p=0.01)。注目すべきは、50 例中 3例 のみが循環器科の診察後にルーチンの推奨を超える追加治療を受けたことである。

股関節骨折術前の循環器科受診が治療の変更につながることはほとんどない。さらに、このような評価は手術を遅らせ、入院期間を延長させる。

心電図と胸部写真、胸部聴診で問題なく、心不全の既往がなければ、OK としていいだろう。

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