COVID-19 患者と非 COVID-19 患者を含む ICU 患者における早期気管切開と後期気管切開の比較:三次ケア病院における後ろ向きコホート研究

コロナ感染.png・気管切開は、さまざまな理由から集中治療室(ICU)患者に対するよく見られる介入である。COVID-19 以外の症例では、早期気管切開と後期気管切開の優劣はまだ根拠がない。COVID-19 のパンデミックは問題を複雑にしており、COVID-19 患者に対する気管切開の理想的な時期に関する文献はほとんどなかった。本研究は、ICU 死亡率、気管切開後の換気日数、ICU 在室日数(LOS)などの転帰を比較することにより、COVID-19 症例と非 COVID-19 症例における気管切開術の早期または後期の優劣を明らかにすることを目的とした。

・2020 年 1 月から 2021 年 12 月にかけて、大学病院においてCOVID-19 の有無にかかわらず人工呼吸を受けた ICU 患者を対象に、単施設による後ろ向きコホート研究を実施した。研究期間中、1,393 人の人工呼吸患者がスキャンされ、156 人が気管切開されていることが判明した。気管切開は挿管後 10 日以内に行われたものを早期とし、それ以降は後期とした。

気管切開は、気管切開された患者のうち 84/156 例(53.8%)で早期に行われ、72/156 例(46.2%)で後期に行われた。全死亡率は、気管切開早期群では 42.9%(36/84 例) vs 69.4%(50/72 例)(P=0.001、OR=3.03、95%CI=1.563-5.874)、非 COVID-19 群では 31.4% vs 65.5%、COVID-19 群では 60.6% vs 72.1%(P=0.005、OR=2.640、95%CI=1.345-5.181)であった。人工呼吸日数は、非 COVID-19 群では早期気管切開群より後期気管切開群で長かった(17.10日 vs 9.18日、P<0.001)。しかし、COVID-19 群では早期気管切開群と後期気管切開群でほぼ同じであった(14.15日 vs 13.86日、P=0.821)。ICU の LOS は COVID-19 群、非 COVID-19 群ともに気管切開後期群で長かった。多変量解析により、ICU 死亡率は年齢、換気日数、ICU LOS と有意に関連していることが明らかになった。

・本研究の結果から、COVID-19 群と非 COVID-19 群のいずれにおいても、早期気管切開は死亡率の低下、換気日数の短縮、LOS の短縮と関連することが示された。

COVID-19 の有無にかかわらず、早期気管切開の方が予後が良いようだ。


この記事へのコメント