■ 臨床麻酔とクリティカルケアのMCQ問題 ■ 2024/08/21
【問題1】(血液) 血液凝固について正しいのはどれか? | ア:ビタミンK欠乏の影響は外因系経路に最初に出る。 イ:凝固系第 VI 因子は欠番である。 ウ:ビタミンKがないと凝固因子が産生されない。 エ:術前に許容できる最低血小板数は75000/mm3である。 オ:PTは外因系経路と共通系経路を測定している。 |
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[解説] ア:○:ビタミンK欠乏の影響は外因系経路に最初に出る。これは、外因系経路にのみ存在する第 VII 因子の半減期が最も短いからである。
イ:○:凝固系第 VI 因子は欠番である。第 IV 因子はカルシウムイオンである。
ウ:×:ビタミンKの存在下でカルボキシル化されてリン脂質の表面に結合する。ビタミンKがなくても凝固因子は産生されるが、機能しない。
エ:○:術前に許容できる最低血小板数は75000/mm3である。血小板数2万/mm3以下では自然出血をきたす。
オ:○:PTは外因系経路と共通系経路を測定している。PTT、APTT、ACTでは内因系経路と共通系経路を測定している。
[正解] 解説を参照 [出典] 麻酔科シークレット第2版 p41-47
【問題2】(呼吸) 酸素解離曲線を左方移動させるものはどれか? | 1) pH減少 3) メトヘモグロビン 5) 2・3DPG増加 | 2) 温度上昇 4) 激しい運動 |
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[解説] 体温上昇、PaCO2上昇、2、3DPG増加、H+の増加は酸素解離曲線を右方に偏位させる。温度や物質の増加は右(酸素解離曲線はそもそも右上がりである)に移動させる。
●右方移動させる直接因子:温度上昇、pH減少、PCO2上昇、2・3DPG増加、激しい運動、無機イオン、異常ヘモグロビン
●左方移動させる直接因子:温度下降、pH増加、PCO2減少、2・3DPG減少、COヘモグロビン、胎児ヘモグロビン、メトヘモグロビン
[正解] 3 [出典]
【問題3】(肝臓生理) 次のうち正しいのはどれか。 | ア:総肝血流量の65〜75%は門脈から供給される。 イ:肝で消費される酸素のおよそ1/3は門脈から供給される。 ウ:門脈血の酸素飽和度はおよそ40%である。 エ:門脈血流量は循環血液量に左右される。 オ:門脈が結紮されると肝壊死が起こる。 |
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[解説] 総肝血流量のうち25〜30%は肝動脈に由来し、70〜75%は門脈に由来する。肝に供給される酸素の50〜60%は門脈由来、40〜50%は肝動脈由来である。平均門脈血流速は肝動脈の1/2である。門脈には弁も括約筋もない。肝内門脈チャネルの流れ抵抗は低く、肝動脈の約6〜12%に過ぎない。従って、門脈の総流量は完全に静脈圧と関係しているので、完全に血液量に依存していることになる。肝動脈は完全に、しかも恒久的に遮断しても、正常の肝臓は通常生存する。門脈自体を結紮すると肝壊死が起こり、死が招来される。
[正解] (ア)、(エ)、(オ) [出典] 第32回麻酔指導医認定筆記試験:B13
【問題4】(中枢神経) 中枢性めまいと末梢性めまいの鑑別上もっとも重要なのは何か? | 1) 頭痛の有無 3) 耳鳴・難聴の有無 5) 吐き気の有無 | 2) 第8脳神経以外の脳神経症状の 4) 眼振の有無 |
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[解説] 中枢性めまいと末梢性めまいの鑑別上もっとも重要なのは、脳神経症状の有無である。この他に一方向性眼振を認める場合には末梢前庭の障害が示唆され、注視方向性眼振を認める場合には、中枢前庭の障害が示唆される。
[正解] 2 [出典] 内科レジデントマニュアルP14
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