帝王切開時の脊椎麻酔後の低血圧を治療するための予防的ノルエピネフリン注入：メタ分析

・脊椎麻酔は帝王切開の全身麻酔法であるが、しばしば低血圧を引き起こし、母体と新生児の健康に潜在的なリスクをもたらす。昇圧剤としてのノルエピネフリンは、この低血圧の予防と治療に有効である可能性がある。この系統的レビューとメタ分析の目的は、帝王切開における脊椎麻酔後の低血圧治療に対する予防的ノルエピネフリン注入の有効性と安全性を系統的に評価することである。

・PubMed、Embase、Web of Science、Cochrane Library、CNKI、Wanfang、VIP の各データベースにおいて、帝王切開における脊椎麻酔後の低血圧治療に対するノルエピネフリンの予防的投与に関する関連研究の文献検索を行った。対象論文の参考文献リストも検索した。最新の検索更新日は 2024 年 3 月 20 日であった。メタ分析はRソフトウェアを用いて行った。Cochrane Handbook で推奨されている方法、Begge の検定、Egger の検定が含まれる文献のバイアスリスクの評価に用いられた。

・最終的に 9 件の研究が本研究に組み入れられた。その結果、ノルエピネフリンの予防的投与は、帝王切開分娩における脊椎麻酔後の低血圧治療の 4 つの側面において対照群よりも優れていることが示された：低血圧の発生率は減少した［RR=0.34、95%CI（0.27-0.43）、P＜0.01］；重症低血圧の発生率は減少した［RR=0.32、95%CI（0.21-0.51）、P＜0.01］；そして母体の血圧は MDPE［MD＝-5.00、95%CI（-7.80--2.21）、P＝0.06］および MDAPE［MD＝4.11、95%CI（1.38-6.85）、P＜0.05］の方が安定し、悪心および嘔吐の発生率は減少した［RR＝0.52、95%CI（0.35-0.77）、P＜0.01］。一方、反応性高血圧の発生率は対照群より高かった［RR=3.58, 95%CI（1.94-6.58）,P＜0.01］。新生児アプガースコア［MD= -0.01、95%CI（-0.10-0.09、P=0.85）］という一点において、両群間に差はみられなかった。

・ノルエピネフリンの予防的投与は、帝王切開分娩患者の脊椎麻酔後の低血圧に有効であるが、安全性の向上は得られず、反応性高血圧を誘発するリスクがある。

ひこ

エフェドリンの作用機序は、交感神経末梢（α受容体及びβ受容体）に対する直接作用及び交感神経節後神経からノルアドレナリンを遊離させる間接作用の両者によると考えられる。・・ので、わざわざノルアドレナリンでなくて、エフェドリンでいいんじゃないかと個人的には思っている。

【出典】
Prophylactic norepinephrine infusion to treat hypotension after spinal anaesthesia during caesarean section: a meta-analysis
J Obstet Gynaecol. 2024 Dec;44(1):2393379.

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