■ 臨床麻酔とクリティカルケアのMCQ問題 ■ 2024/08/23
【問題1】(心臓・血管) 急性心筋梗塞に合併するショックをみたら、以下のどれを考慮すべきか? | ア:高度左室収縮不全 ウ:急性僧帽弁閉鎖不全症 オ:心タンポナーデ | イ:右室梗塞 エ:心室中隔穿孔 |
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[解説] 急性心筋梗塞に合併するショックをみたら,高度左室収縮不全,右室梗塞,急性僧帽弁閉鎖不全症,心室中隔穿孔,心タンポナーデを鑑別せよ! 、1)左室の40〜50%が梗塞に陥ると,左室収縮不全によるポンプ失調が生じる.
2)右室梗塞は下壁梗塞に合併することが多く,低心拍出量と右心不全症状を示す.右室梗塞とよく似た病態で鑑別を要するのは,血管迷走神経反射(Bezold-Jarisch reflex)である.これも低血圧と徐脈を特徴とし,下壁梗塞によくみられる.
3)乳頭筋断裂や乳頭筋不全による僧帽弁逆流で,収縮期雑音が生じる.心室中隔穿孔との鑑別にはカラードプラー心エコーが有用.
[正解] 全て [出典] 知っているつもりの内科レジデントの常識非常識 第3章 378の常識 循環器編
【問題2】(脳外科) くも膜下出血の術後管理について正しいのはどれか。 | ア:脳血管攣縮時には、その領域の平均血流速度は増加する。 イ:聴性脳幹反応上、ICP≧30mmHgでは V 波が延長し始める。 ウ:バルビタール投与によりABRの潜時は延長する。 エ:局所脳血流量が10ml/100g/min以上であれば短潜時体性感覚誘発電位(SSEP)には変化がない。 オ:脳虚血の急性期や頭蓋内圧上昇により脳血流の低下した場合、内頚静脈酸素飽和度は著しい低下を認める。 |
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[解説] 脳血管攣縮時には、経頭蓋ドップラーで測定される平均血流速度は増加する。聴性脳幹反応上、ICP≧30mmHgでは V 波(中脳下丘由来の電位)が延長し始める。バルビタール投与によってもABRの潜時は影響が少ない。局所脳血流量が16ml/100g/min以上であれば短潜時体性感覚誘発電位(SSEP)には変化がないが、10〜12ml/100g/min以下に低下するとN20(大脳皮質体性感覚野)が消失する。脳虚血の急性期や頭蓋内圧上昇により脳血流の低下した場合、内頚静脈酸素飽和度は著しい低下を認める。さらに高度の虚血が持続し神経細胞の大多数が障害されれば、代謝はむしろ低下するのでSjvO2は上昇する。
[正解] (ア)、(イ)、(オ) [出典] LiSA 1巻 2号 p74〜 (1994.12)
【問題3】(心臓・血管) 右冠動脈の収縮期流量/拡張期流量の比はどれくらいか? | ||||
1) 2 | 2) 1 | 3) 3 | 4) 0.2〜0.3 | 5) 0.5〜0.6 |
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[解説] 冠灌流圧=冠動脈圧−心筋組織圧(張力)。左心室壁張力;収縮期には心内膜側で高く、心外膜側で低い→収縮期には内膜下層ではほとんど血流がない。拡張期の冠血管抵抗;心内膜側の方が心外膜側より低い。→拡張期には左心室内膜下層に血流が多い。左心室の冠血流量の大部分は拡張期に流れている。左冠動脈の収縮期流量/拡張期流量の比=0.2〜0.3.これに対し、右心室は心内圧が低い(収縮期圧=25mmHg)ので壁張力の影響が小さく、収縮期と拡張期における冠血流量は等しい。∴右冠動脈の収縮期流量/拡張期流量の比=1
[正解] 2 [出典] CCUハンドブックP23
■ これって常識? ■ 吐血の患者をみたら,本当に吐血か否かを確かめよ! |
鼻腔や口腔からの出血,あるいは喀血の可能性も考える.
[出典] 知っているつもりの内科レジデントの常識非常識 第3章 378の常識〜消化器編
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