急性虫垂炎の高齢患者の術後回復に対する脊椎麻酔の効果：後ろ向き研究

・急性虫垂炎は高齢者に多い疾患である。高齢患者の術後回復を促進するためには、適切な麻酔法を探ることが重要である。そこで本研究では、虫垂炎の高齢患者における脊椎麻酔の臨床効果を検討することを目的とした。

・本研究は、2022 年 1 月から 2023 年 1 月までに天津大学附属天津病院で腹腔鏡下虫垂切除術（LA）を受けた急性虫垂炎の高齢患者 217 例の臨床データを対象とした。組み入れ基準を満たさなかった 8 人の患者を除外した後、209 人の患者のデータを後ろ向きに分析した。麻酔法差に基づいて、研究参加者を参照群（n＝106）と研究群（n＝103）に分けた。心拍数（HR）、呼吸数（RR）、収縮期血圧（SBP）、拡張期血圧（DBP）、血中酸素飽和度（SaO₂）、手術時間、入院費用、退院時間、術後有害反応、炎症因子値、視覚アナログスケール（VAS）スコア、腸管蠕動回復時間、放屁時間、離床時間、術後合併症の発生率を2つの実験群間で比較した。

・HR、RR、SBP、DBP、SaO₂ は、基準群と比較して実験群の方が高かった（p＜0.001）。しかし、両群間で手術時間に差はなかった（p＞0.05）。入院費用と退院時間は、基準群より試験群の方が少なかった（p＜ 0.001）。同様に、術後有害反応の発生率も研究群の方が基準群より低かった（p＜0.05）。周術期の C 反応性蛋白、インターロイキン-6、腫瘍壊死因子αの値には両群間に有意差はなかった（p＞0.05）。さらに、術後 3 時間後、6 時間後、12 時間後の VAS スコアは、基準群に比べて試験群の方が低かった（p＜0.001）。腸蠕動運動、放屁時間、離床時間の回復時間は、試験群の方が基準群より有意に短かった（p＜0.001）。さらに、術後 1 年以内の術後合併症の発生率に両群間で差はなかった（p＜ 0.001）。

・脊椎麻酔は安全な麻酔法として、LA を受けた急性虫垂炎の高齢患者の退院時間を短縮し、有害反応の発生を減少させることができ、術後の回復に有益である。

ひこ

腹腔鏡下虫垂切除術も、脊椎麻酔でできそうだな。診療報酬的には、ラリマ入れて全身麻酔にした方がいいだろうが。

【出典】
Effect of Intraspinal Anesthesia on Postoperative Recovery in Elderly Patients with Acute Appendicitis: A Retrospective Study
Ann Ital Chir. 2024;95(4):669-677.

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