術後咽頭痛発生率に及ぼす i-gel Airway の潤滑剤の種類による影響:前向き無作為比較試験

潤滑剤.png・本研究の目的は、i-gel ラリンジアルマスクに使用する潤滑剤の違いが術後咽頭痛の発生率に及ぼす影響を比較することである。

・施設の倫理承認を得た後、本前向き試験は小手術を予定していた患者 150 人を対象に実施された。研究対象者は、コンピュータで作成した乱数で無作為化した後、使用する潤滑剤に応じて 50 人ずつの 3 群に分けられた(LJ 群:潤滑剤としてリグノカインゼリーを使用、WJ 群:潤滑剤として水性ゼリーを使用、NS 群:潤滑剤として0.9% 生食を使用)。気道確保に要した時間(挿入から最初の ETCO2 (呼気終末二酸化炭素)トレースおよび 5 点聴診まで)と試行回数が記録された。抜管時には、血液汚染を確認した。術後 24 時間は咽頭痛を数値評価スケールで観察した。術後の嗄声、咳嗽、嚥下困難は、その他のパラメータとして記録された。結果は標準的なスプレッドシートに記入した。統計解析は JASP バージョン0.18.3.0 を用い、独立標本のt検定と量的変数のカイ二乗検定を用いた。

・3 群とも人口統計学的には同等であった(p>0.05)。挿入に要した時間、試行回数、気道確保も 3 群間で同等であった(p>0.05)。LMA 抜去時の血液汚染は 3 群間で同等であった(p>0.05)。術後咽頭痛は 3 群間で同等であった(p>0.05)。しかし、術後の嗄声の発生率は、他の 2 群に比べて LJ 群で有意に高かった(p<0.05)。術後の嚥下不快感も LJ 群で他の 2 群より有意に高かった(p<0.05)。

・i-gel エアウェイの潤滑剤として使用したリグノカインゼリー、水性ゼリーおよび通常の生食は、術後の咽頭痛の発生率に差を示さなかったと結論した。リグノカインゼリーは他の潤滑剤と比較して、嗄声や嚥下不快感の発生率が高かった。

声門上気道器具の潤滑剤として、リドカインゼリーは適さないということだ。筆者の施設では、麻酔に際してリドカインゼリーは、10 年以上前から使用しておらず、代わりに KY ゼリーを使用している。

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