成人患者におけるラリンジアルマスク挿入時の口腔咽頭刺激が心血管系反応に及ぼす影響:二重盲検臨床試験研究

FFTMT-1.png・ラリンジアルマスク(LMA)挿入は、喉頭鏡検査や挿管と比較して心血管系の反応を低下させることが判明している。本研究では、LMA 挿入に用いられるさまざまな手技が心血管系反応に及ぼす影響を検討することを目的とした。

・本無作為化二重盲検臨床試験には、90 人の待機的手術候補者が参加し、30 人ずつ 3 群に分けられた。全患者は同様の麻酔を受けた。LMA は古典的手技、180°回転手技、対面式三重操作手技(FFTMT)を用いて挿入した。心血管系の反応、LMA 留置の成功率、その他の転帰を記録し、3 つの方法で比較した。

・研究の結果、回転法による LMA 挿入 10 分後の患者の血圧は、標準法よりも高かった(p=0.019)。また、LMA 挿入後 3 分(p=0.044、p=0.024)および 5 分(p=0.028、p=0.048)の脈拍数は、標準手技群および回転手技群に比べ、それぞれ FFTMT を用いた場合に高い値を示した。さらに、FFTMT 群における手術後の咽頭痛の発生率は、標準手技および回転手技で観察された発生率よりもわずかに高かった(それぞれp=0.389 および p=0.688)。

・今回の調査結果から、LMA の留置に古典的手技を実施することで、180°回転法や FFTMT よりも血圧(BP)と脈拍数(PR)の反応がより安定することが示された。さらに、古典的手技は代替手技に比べて LMA 挿入の成功率がわずかに低かった。

古典的挿入法は、成功率はやや劣るが、口腔咽頭刺激の程度が低いようだ。FFTMT 法は、頭部後屈を手伝ってくれる介助者が不要で、患者の頭側に立たなくても挿入できて、確かに革新的な方法かもしれない。

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FFTMT 法については以下の文献を参照してください。
Conditions for Insertion of the Laryngeal Mask Airway in an Innovative Method vs the Classic Method

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