COVID-19 で重症低酸素血症の集中治療室患者における酸素化目標値を低くした場合と高くした場合の長期死亡率と健康関連 QOL

酸素化.png・本研究の目的は、コロナウイルス疾患 2019(COVID-19)と重症低酸素血症を有する集中治療室(ICU)患者において、酸素化目標値を低くした場合と高くした場合の 1 年間の転帰を評価することである。

・COVID-19 における酸素化目標値の取り扱い試験において、1 年死亡率と健康関連 QOL(HRQoL)について事前に計画した解析を行った。この試験では、COVID-19 と低酸素血症を有する ICU 患者 726 例を、再入院を含む 90 日までの ICU 在室期間中、動脈血酸素分圧目標を 8kPa(60mmHg)と 12kPa(90mmHg)に無作為に割り付けた。HRQoLはEuroQol 視覚アナログスケール(EQ-VAS)および 5 段階 5 次元質問票(EQ-5D-5L)を用いて評価した。転帰は治療企図集団で解析された。非生存者には可能な限り悪いスコア(0 点)を割り当て、EQ-VAS の欠損値には多重代入法を適用した。

・691/726 例(95.2%)の 1 年後の生存状態と 642/726 例(88.4%)の HRQoLデータが得られた。1年後、低酸素投与群では 117/348 例(33.6%)が死亡したのに対し、高酸素投与群では 134/343 例(39.1%)が死亡した(調整リスク比:0.85;98.6% 信頼区間(CI)0.66-1.09;p=0.11)。EQ-VAS 中央値は 50(四分位範囲0〜80) vs 40(0〜75)(調整平均差:4.8;98.6%CI - 2.2〜11.9;p=0.09)、EQ-5D-5L 指標値は低酸素化群 0.61(0〜0.81) vs 高酸素化群 0.43(0〜0.79)(p=0.20)であった。

COVID-19 で重症低酸素血症を有する成人 ICU 患者において、1 年死亡率の結果は低酸素化目標の有益性と最も適合しており、QOL の低下を伴う生存者の増加にはつながらないようであった。

酸素飽和度で言えば、目標値は 100% よりも 90% のほうが予後が良好であったと言えるのかな。

この記事へのコメント